第202号 | 3月の風・4月の雨 | 岩城生産システム研究所 | 岩城 康智 |
帰国便がなくなるというので予定を変更して(ちなみに私の予約した便は欠航)3月の20日に慌てて帰国(スコットランド)したのですが、その時点で英国は感染者が3,983人。
死亡者177人と日本よりはるかに悪い状態で、空港を始め機内においても、かなりパニックになっているな?と感じました。(30日現在、感染22,141名 死亡1,408名!)
もっとも無理もないのは、その時点でイタリアの感染が止らないない状態で、亡くなった方だけで4,032人という状態でした。
直ちに政府から英国国民に対して、緊急時以外の外出禁止令が出て一気に火が付きまして、筆者も慌てて買い物に行ったのですが、トイレットペーパー、ビール、ワインは売り切れて全くない状態。「どこの国でも考えることは同じなんだなぁと変に感心」やはり菜食主義者が多いのか?野菜と果物もほとんどない状態でした。
特に大きな問題は、"感染しない安全距離"(Safe distance)というのがあり、常に他人との距離を2m以上にしなければいけないというのがあります。
(確か日本は1mだったと思いますが)
これは締め切った室内でも風のびゅうびゅう吹いてる屋外でも2mだそうで、テレビ等でのインタビューもマイクは物干し竿の先に取り付けて、常に2mを守ろうとしているし、スーパーマーケットも店内の入場規制をおこなっている為、当然外に並ぶ事になるのですが、これもまた地面に2m間隔に線が引いてありその点徹底しているなあと感心しました。
一方、鉄道・地下鉄(英国の地下鉄は特に小ちゃい)の中では"2m"なんてとっても無理なので我慢して乗っているようですが、それ以外では英国人の性格か、最大限ルールは尊重しており、歩道ですれ違う時でもちゃんとカニ歩きしてよけてくれる。
そんな苦労をする前にマスクをすれば良いと思うのは日本人の常識らしく、実際、筆者も自宅ではマスクをしているのですが、外出時にはマスクを取らないと、周りの視線がかなり厳しく、特にアジア人は場合によって"危険"にさらされることもあるそうです。
また外出規制も具体的に始まり、一日一回 1時間程度の野外活動(運動もしくは散歩)以外の原則外出は控える事になっており、また、外出の際に車等で遠方の山だの海辺だのに出かけることも禁止されている始末です。
一方、日本においてはこれに比べると、まだまだ柔らかい規制で済んでいるのは、不幸中の幸いですが、自己判断による油断は危ないように思うのです。
実際、今回のウィルスは危険なものであり、沢山の方々が日夜大変な思いで戦っておられます。その一方で、インターネットなどには様々な書き込み等を見ていると、個人の判断で思わぬ危険な行動をされる方も目につきます。
個人個人が責任を持って行動する指標となるのが、政府のガイドラインであって、その内容の如何を問う前にまず実行するのが私たちの"大人"の責務ではないでしょうか。
この点では今の所英国人はじっと我慢しながらウィルスが去るのを待っている状態です。
例えば、多くの会社は自宅勤務を行っており、当然売り上げが少なくなっているので、今月の賃金を若干減らすべく従業員に通達し始めている、また、家賃等についてもそれに見合った形で減額するように政府が動き出しているのはその一例です。
3月の風と4月の雨は5月の花を呼び寄せる。
"March winds and April showers bring forth May flowers"
という諺がありますが、今の状況に例えるならばこんな感じかと思います。
読者の皆さんも大変な厳しい状況とは思いますが、共に痛みを分かち合い毎日を元気に過ごして行きたいものです。