2019年5月 15 日 発行

連載コラム

第194号「トップの強い意志表示こそ、改革の源泉」 (3)岩城生産システム研究所佐藤 裕孝

 事業環境は日々変化していますので、業界誌や新聞で自社に関係ある話題、 他社の改革に関する記事なども積極的に掲示することを勧めます。 変化を乗り越えるためには、自社がそれ以上に変化していかなければ生き残るのさえも難しいし、イノベイションと言えるほどの改革が必要なことをしっかりと認識していただくためです。

2・6・2の法則があります。 新しいことを組織で行なおうとすると、2割が積極的に参加しリードする、6割は様子見で消極的、2割の参加者についてゆくだけ、そして残りの2割は協力を拒んだり場合によっては活動の邪魔をするという経験則です。
言い得て妙ですね。
 従来のやりかたと大きく異なる方法に変える場合、特に私たちが取り組む、工場の生産方法を従来の普遍的と思われている方法、すなわち作れるだけつくる固め打ちや大ロット生産から、お客様が必要とする数だけつくるジャスト・イン・タイムに変えていく場合などは、最初の2割の積極的な人の割合はぐんと減少します。
価値観が従来と大きく変わるので、1割を大きく切ってしまいます。 特に階層が上になるほど積極的な割合は減ってきて静観派が増えます。 従来の価値観で成功を収めたので、価値観を変えるのが難しいのでしょうか? またはそのポジションが安泰だとお考えでしょうか?

 変化と競争が激しい時代であり、我が国の産業は追いつかれ追い抜かれています。 価値観を変え、新たなシステムを築いて群を抜くQCD(Quality品質, Cost downコスト削減, Deliver安定供給)を達成して収益をあげ、次の競争の準備をせねばなりません。 製品・サービスもイノベイションが必要です。
 この変革スピードを上げる為には、上記の無関心派上層部を本気にさせねばなりません。 一人でも二人でも良いので'燃え上がる人'が出れば、改革スピードは大きく上がります。
この燃えるリーダーを生むため、トップの強い意志表明が必要です。 後押しが必要です。 何度も何度もしつこいほどの情報発信、意志発信が必要です。 改革の現場も巡回して下さい。
 前々回より紹介している工場の改革成功は、改革を立ち上げた事業部長、その後を継いだ社長の強い意志を社員がくみ取った成果です。

(以上)