2019年5月 7 日 発行

連載コラム

第193号「トップの強い意志表示こそ、改革の源泉」 (2)岩城生産システム研究所佐藤 裕孝

 念願叶いある工場を見学できました。 この工場は閉鎖が決まっていたのですが就任したトップの強い意志の下,改革に取組み、奇蹟の復活を成し遂げ、今やグループをリードする工場です。
工場見学時の担当者によるプレゼンテーションでは、全社に浸透した活動のようすを誇らしくご説明いただきました。 このような活動はボトムアップになるまで育てねばなりませんが、しっかりとしたトップの継続したゆるぎない意思表示があってこそ可能です。 
 現場は床も設備もピカピカに磨き上げられ、地震対策もしっかり行なわれています。 改革の取組みを示す標語、改革の歴史、改善前後の姿等の掲示物が壁一面に掲げられています。 活動が全社一丸、 トップダウンとボトムアップがしっかりかみ合っている様が一目瞭然です。
 目指す活動の姿の理想形がここにありました。

今までたくさんの改革現場の見学や支援をしましたが、改革に対するトップの熱意、本気が改革の成否を決定づけます。 トップは折に触れてありたい姿や改革の決意を何度も従業員に語りかけることが肝要です。最低でも週一回は必須です。 トップの改革活動に対する思いを掲示物で示すとか、唱和することも必要です。
従来とは異なる価値観で「改革」を行なうのですから、当然ではありますがトップのしつこいほどのメッセージによりモチベイションを高めねばなりません。  
このトップの思いを浸透させ、ボトムアップの活動に発展させる為、活動推進組織やプロジェクトを組織化します。 この推進組織は、コンサルタントが来る日の段取りやスケジュール管理のみに終始していてはいけません。
 経営理念、経営方針、行動指針、行動規範等の浸透は、社長室や総務部門が行なうにしても、これらを含めて推進組織は、さらに改革の目標、心構えや行動の具体的な方法、さらに目標値、実績値等を従業員に浸透させます。  特別なコーナーを設けたりして、職場のあちこちに掲示します。 とにかく目に付くように、従業員が良く通る場所や休息場所等、思いつく場所にはとことん掲示することです。

トップは強い決意を折に触れて繰り返し表明し、それを浸透させるため活動推進組織はあの手この手を駆使して意識改革の一翼を担わねばなりません。 そしてまたトップはこの推進組織の活動を後押しするためメッセージを発信することです。
(次号に続く)