2019年3月 1 日 発行

連載コラム

第190号「リーン・プロダクション・システムによる生産性の向上(2)」岩城生産システム研究所佐藤 裕孝

トヨタ生産方式、リーン・プロダクション・システムによる人材の成長

 トヨタ生産方式を体系化した元トヨタ自動車副社長、大野耐一氏の直弟子である岩城宏一氏の生産革新指導に魅せられ、その技をマスターすべく先生の指導現場を追いかけた頃が思い出されます。  
 先生の指導現場で見たことを当時の自分の職場でモディファイして実践した結果、毎年挑戦して毎年達成できなかったリードタイム半減に半年で成功しました。 翌年からは直接岩城生産システム研究所の指導を受け、製造リードタイムは1/7にまで短縮できました。
不良発生率は、何と一桁下げることができました。 さらに協力工場にも展開し、ジャストインタイムで納品してもらうことができるようになりました。 新技術も要因として加わりはしましたが、 気がつくと驚くことに損益分岐点は大きく低下していました。 まさに別次元のQCDの実現です。
 なによりもすごいのは、それまで生産するための労働力だけだと思って出社していた現場の社員自身が自分の職場の改善に夢中になり、あの手この手で改善をする社員に変わりました。 事務所も現場に興味を示し、「現場を見ると毎日景色が変わっている」という興奮の声を聞いたことも思い出します。 
 彼らは改善成果の発表を通じて、自分でデータを取得して発表できる人材にまで成長しました。 当時としてはまだ黎明期だったRFIDによる生産管理システムを作ってしまった者もいるし、 数年後には海外工場の指導に出かけるまでになった者もいます。

私たちはこの別次元のQCD達成、人材育成技術を広く展開するため、 恩師の岩城宏一氏が立ち上げた岩城生産システム研究所から支援しております。                        
                                                             以上
   (次号に続く)