2017年8月 1日 発行

連載コラム

第183号「むかし話 (1)」岩城生産システム研究所岩城 康智

 ある国にその国では有名な製造会社があった。
もうすでに30年以上の歴史があり、国内の工場では2000人以上の社員がおり、全社では2500人以上の規模になっていた。

ところが
 人件費がだんだん高くなって来たので、人件費の安い下請けに外注した。同時に工場の人員整理を行い、人員整理に際しては、退職金を増やして希望退職としたので、その際の出費は嵩んだのだけれど、設備を売却した収入があり、また、下請けからの買い上げ価格を、適正価格(十分に安く)に出来たので、結果としては利益が増大した。
しばらくすると下請けから値上げ交渉があった。利益が減るので困るのだけれど、すでに機械は売却してしまっているし、作業者もすでにいないので、今更工場に戻すことができず、値上げに同意ざるおえなかった。
人件費は毎年上がるうえ、来年になればまた外注の価格も上がる危惧がありこのままでは、利益が出なくなるので、海外の人件費の安い国を探してみる事になった。
 すると、ずいぶん遠いのだけれど、極東に人件費の安い国があることがわかり、ためしに下請けに出していた仕事をやってもらった。ただしこの会社はこの部品を作った経験がないので、技術支援が必要なのが違いだった、しかし、何ヶ月かすれば出来るようになる見込みで、結果、外注の部品を作ってもらう事にした。幸い人件費が安いので、高度で高価な機械は必要でなく、人海戦術で出来そうだ。
確かに指導には手間がかかったものの、本国に比べて労働環境についての法律も緩く、求職者が多い為、人手は幾らでも掛けられるので、本国で作るより合理的ではないか。コストも本国の半分以下で出来る事に気がついた。
 そこで、本国で生産している中で利益率の良い一部を除いて、全ての商品を移管してみた。さらに1000人規模の大きな人員整理を行い、本国は本社機能として、総務・営業・物流管理・購買・技術・品質管理のほか、利益率の良い高価格品のみとした。
その結果利益は増大して、株価も上がり、配当金も出す事が出来た。
めでたしめでたし?     (続く・・・・・)