2017年5月 1日 発行

連載コラム

第182号「決まりは破るためにある」岩城生産システム研究所岩城 康智

 改善が必要なのだけれど、何をやったら良いのかわからない。なんてことをよく感じませんか?
第一、毎日一生懸命働いているのだし、これ以上働くのは無理ではないか?
現場にはそれぞれの工程で、色々と形が違うけれどベテランが働いていると思います。このような状況で改善をしましょうと言ったところで、具体的に何をやればいいのか? やったところでうまくいかなければ、疲労感だけが残り、そうだ!いっそ今週はこのままでやって、来週また考えよう!
このようにすっきりとしない形で毎日を過ごしている管理者/経営者が多いのではないでしょうか。
筆者の先代は、気に入らないと生産中のラインをバラバラに壊した(本人の弁です)そうですが、正直やられた方は大変な騒ぎで、しかしそこから変化するということを、学んだのかもしれません。
まさか、私はそんな激しいことはしませんでしたが、やはり製造会社の管理者/経営者として常に現状をリセットして見つめてゆく姿勢を心がけました。
そして、ある程度方策までイメージ出来たところで、現場の作業者を集めて、ターゲットを与えるようにすると、作業者の立場からみても、やるべきことが明確になるので、失敗も少なくなるし、たとえ失敗しても他の方策を考える余裕も生まれるのです。
よく部下には“決まりは破るためにある“といって回ったものですが、これは非社会的行動をしろと言っているのではなく、決まりの中には、理由もはっきりしないものがあって、そういったものを曖昧にしない、なぜ、なぜ、なぜ?と自問自答をどこまで繰り返せるかが管理者に求められるのではないのでしょうか?
特に最近の日本人に顕著に見られるのですが、わからないことがあると、すぐネットで検索し、はいこれが正解ですと大満足。
しかし、自分の現場のウィキなんてないもんだから、改善に手が出ないのも頷けるのですが、こういった若者に分かりやすく言うなら、現場の改善方針は、ネットで言う所の口コミ検索に近いものがあって、正解・不正解ではなく、全ての可能性の中から、最もそれらしい可能性のある方向に進めるとかんがえると、改善の方向性が見えてくるのではないでしょうか。是非試してみてください。