2017年2月 1日 発行

連載コラム

第181号「仕事と改善と(2)」岩城生産システム研究所岩城 康智

 さて、ここで考え方をまるっきりひっくり返してみようと思います。
つまり改善のために今の仕事があると仮定するとどうなりますか?
 ここで注目して欲しいのは標準作業の概念が変わるという事です。つまり、標準作業というのは、安全・コスト・納期を守る上で最低必要となる条件であるとしましょう。具体的、且つ簡単な例で言うならば。始業時間が9時とした時、始業までに何をしていますか?基本的に始業というのは仕事が始まる時間ですので、各部署のブリーフィング・体操・掃除・品質チェック(初物チェック)・安全チェック・事務所ならばメールのチェック・等々は始業前にしないといけない訳です。遅刻ギリギリで出社するような社員を野放しにしているような職場は論外です。細かい話になりますが、このように出社時間と始業時間はそれぞれの職場によって違うという事です。
この始業時間が“標準作業”とするならば、出社時間は“仕事”であるという考え方です。つまり仕事の中には標準作業とそれを守るための準備・例外作業も含まれることに注意してください。
ここで、改善というのは何処に位置付けられるのかといえば、準備・例外作業となる訳ですが、一方、標準作業は行った改善内容を検証し、もし問題があるようならば、直ちにレベルアップする訳です。つまり標準作業は普遍的でないのです。
 このように、仕事という言葉は、誰かから与えられる、いわゆるロールアンドレスポンスビリティーで管理される職務で、その内容は標準作業として表される仕事のように思われておりますが、望ましい職場においては、改善+検証する作業となり、ここにおいては標準作業の意味は、安全と品質を保証するための基準として威力を発揮しています。
 昔の話ですが、私の若い時に上司から言われた言葉があります。
「言われた事もできないバカ・言われた事しかできないマヌケ!!」
もう皆さんにはこの言葉に意味がわかると思いますが。つまり、常に考えて仕事をしなさい。今の仕事が最悪と思って仕事をしておれば、自然と次にしなくてはならない改善の必要性が見えてくるはずと言う先人の教えです。

 私は前記にあるように日本における管理するという言葉が時々誤解されていて、その結果企業の改善活動の足かせになってしまっているのを目にしています。
これは管理をするなと言っているのでなく、具体的には、安全・品質(コストを含みます)・納期においての進捗を見える化し、会社活動のベクトルを合わせるのが本当の管理の仕事と思います。
実際のところ、日々の改善活動の中に本社スタッフの顔があまり見えない事業所がありますが、私としては心配な事項の一つであります。これは以上にある理由なのです。