2016年12月 22日 発行

連載コラム

第179号「終わりと始まり」岩城生産システム研究所岩城 康智

 この頃 月日の経つのが早くなり、今年もあっという間に年の瀬となってしまいました。一般的に年を取ると時間の流れが早く感じるそうですが、今年はそれだけとは思えないのです。シリア難民で明け、ブリックストによって迷走し、トランプによって動乱を極めた今年のような一年は、あまり記憶にないと思います。
筆者は日本とヨーロッパを行き来しているのですが、国外の状況はかなり深刻で、やはり日本は穏やかだとつくづく感じるのです。激しい投資競争の中、最も短時間に利益を生んだ者が正しいという理論に裏付けられた、近代の経済社会の中で、未来に対して目標を作れない人々の不安が吹き出しているのが、今の状況ではないでしょうか。
また、かれらの産んだ混沌に、世界中が翻弄され続ける中において、それをコントロールするはずの理性も原理も機能しないということを示したのではないでしょうか。
そして、今こそこのような利益のみを追求する世界観が、如何に子供じみた幻想であるかにもう気がつく時ではないでしょうか。
社会があっての自分。自分があっての社会。これは太古より続く自然の摂理であり、我々は常に周りの社会への貢献の上に生きていけるということを、今ここにもう一度自覚しなければならないと思います。
一年の終わりは、即ち一年の始まりでもあります。
この区切りの時にあって、私たちにとって、より良い未来とは何かを考えては如何でしょうか?