2016年12月 1日 発行

連載コラム

第178号「仕事と改善と(1)」岩城生産システム研究所岩城 康智

 あなたの日常業務における、仕事と改善を具体的に説明できるでしょうか?
大抵の人にとって仕事は具体的になっていると思いますが、あなたにとって改善とは何なのかという問いに答えることができるでしょうか?
多分、毎日の仕事は繰り返し作業になっている部分がありますので、説明しやすいのだと思います。しかし、毎日の仕事の上に改善活動を意識すると、皆さんの仕事のやり方が大きく変わるはずです・・なんですが、上手くいかない。
例えば前記にある“仕事“ですが、与えられた仕事を指定された時間までやり遂げるということは、いわゆる標準作業を守るということですが、これを守れ!といってしまうと問題が出てきます、それは改善という側面から見ると、強い”抑制“という面が現れるのです。欧米では顕著なのですが、例えば会社の食堂で食事をしている時にゴミを落としたとしましょう。これを拾うのは掃除担当の仕事で、拾うのはいけない。また、以前のことですが、私の部屋にホワイトボードを付けたいので、自分で工務からドリルを借りてきてつけていたら、アメリカ人の副社長が飛んできて「保全にやらせないと問題になるので止めてくれ!」と真顔で言われたこともあるのですが。これを彼らはロール・アンド・レスポンシビリティーというのですが、組織を守る上で標準作業以外はやってはいけないという理論です。このような環境において、改善活動というものは標準作業以外の作業という事になる訳で、活動範囲も非常に狭い限定的な活動しか許されないので、すなわち効果も限定的になってしまうのです。
しかし、これは欧米に限った事でなく、昨今の日本においても、特に本社の管理部門と工場間の隔たりがあると、とかく官僚的になりがちで、会社組織の改善の障害となっている場合があるのではありませんか。
このような官僚的な職場では、個人の個性は抑制される方向になるため、各人のストレスは溜まるはずですし、全体の効率においても将来の伸びは期待できません。
ここに官僚的な職場と書かせてもらいましたが、平均的な日本の大企業における管理部門の効率を見ると、たとえば、決して理想とは言えない欧米の会社に比べても、甚だ悪いのは皆さんもご存知ですね。
(もちろん欧米に見習えというつもりはありませんが。そんなはずがない!と異論があるかたは、ご意見お待ちしております。)