連載コラム

第175号「2015年末に際して」岩城生産システム研究所岩城 康智

 2015年はISとシリア難民問題で不安定感の中、来年の見込みも立たぬまま終わりを迎えようとしていますが、筆者のいるスコットランドは、天候不順を別にするならば、比較的穏やかな一年であったと言えるでしょう。金融の行き詰まった中で、農業と工業依存の傾向がある此処は、自然と自己修復機能があるのかもしれません。もともと不景気と貧乏には慣れていて、打たれ強いのも理由の一つかもしれません。
 先日久しぶりに中国に行ってきたのですが、やはり転換期に来ているように感じました。急激な成長の後に顕著にあらわれている、行き場のない不透明感。こういった物を私自身ヨーロッパでは見慣れてきているのですが、いよいよ中国もこれからが勝負かな!といった感。つまりこれからは本当の意味での競争/淘汰が始まり。これに対応できない若しくは対応速度の遅い者から順次、消滅/統合されてゆくわけで、今更ながら“作っているだけ”ではひとたまりもなく餌食となる時代がやって来たと感じたのです。
 このような淘汰の波に乗るためには、年ベースの利益追求だけの経営では先が見えていて、5年程度の将来を見たR/D。10年レベルの人材開発。こういった物がちゃんと出来ないと中国の経営者もその企業も苦労しそうです。
 一方、円安景気に浮かれる日本の大企業はどうでしょう?円高に苦しんだ時に立てた中期目標は達成できましたか?人材開発は進んでいますか?もう一度今年中に見直してみましょう。