連載コラム

第170号「残業は良い事か悪い事か」岩城生産システム研究所岩城 康智

 残業は良い事か悪い事かという議論は多々ありますが、企業活動においての残業には大きく分けると2種類あると考えます。
突発的な残業については、企業活動を進める上で重要な事項で、遅延しないという点で止む終えないと考えます。一方慢性的な残業はむしろ作業の遅延という考えから企業活動の中では容認できないものではないでしょうか。
日本の企業においてしばしば見られるのは、“上司が帰るまで帰れない”というのがありますが、これは明らかに上司の作業遅れであり、このコラムを読まれている皆さんにもしその様なことがあるのなら、直ちに改善する必要があるでしょう。
その方法の一例をご紹介します。
1、 午前中に仕事を終わらせる。 管理者にとっての仕事は指示を出す(決済する)というのが役割とかんがえると、朝一番で指示を出さないとその仕事は本日中に出来ないというケースになりがちです。よく午後4時頃にミーティングを開く人がおりますが、これはトップとしては明らかな作業の遅延を招いていると言えます。
2、 午後は部下の困ったことの相談に充てる。 朝一番で出した懸案はその日のうちにかたをつけるのが理想的です、従ってそれを前提で指示を出すわけですが、想定外の問題が発覚して、本日中に出来ないような懸案については中間報告をしてもらうわけです。本日中にどこまでできるのか、遅延について自分を含めた部署に応援を必要とするのかを話すのですが、この報告は一人15分で終わるように準備してもらうのが躾です。
3、 全員自分より先に帰宅させる。 今日の仕事が予定通り終わったかどうかを確認する上で全員が帰宅してから自分は帰ります。ついでに整理整頓ができているかもチェックできます。
4、 定時プラス1時間以内で、事務所の電気を消す。 このようにしてもなかなか定時には終わらないのであるならば、その担当者には朝早く出勤してもらいました。そして、始業前に昨日の仕事が終わっているのが約束としたのです。

 このようにする事で、業務のPCDAがそれ以前の倍以上に改善し、改善の速度も劇的に早くなったにもかかわらず、残業が月平均あたり10時間程度でも今まで以上の業務がこなせるようになったのです。