連載コラム

第166号「イコールオポチュニティ (1)」岩城生産システム研究所岩城 康智

 日本人の道徳観が高いのは誇るべきだが、最近はしばしば平等主義が行きすぎて、毎日の思考に支障をきたしていると思うときもある。
組織の中には、異なる性格を持った人格があるのは当然ということが、若い世代の中には全く理解し合うことさえ難しいと感じることもある。これは昨今の情報世界の進化に取り残された世代のぼやきに過ぎないのかもしれないのだが、世界に目を向けるとこのようなことはごく日常として起こっている。具体的には、少数の意見(権利)を優先するがあまりにチームワークが阻害されるという現象として、最悪の場合は組織の崩壊を意味する。
この時、イコールオポチュニティと言う考え方が、明確な解決方法を示してくれる。
性別、人種、年齢、宗教、一切において、会社は平等に機会を与えるが、それ以外はあくまでも自由競争を基本として各人の自主的な責任の上に、会社はその評価を行う。
これは特にヨーロッパにおいては、いわゆるところの人権団体の力が強く、ともかく少数派の為に組織の効率を大きく損なうことが度々ある為、この問題においての明確なガイドラインを作ることが重要になっている為である。
と言っても具体的な例を示さないと解りづらいので、以下にその例題をあげてみる。

1. ある食品量販店で、担当バイヤーが宗教上の理由で、豚肉を使った食品サンプル試食を拒否。配置を転換した会社に対して人種差別を訴えた。
2. 多国籍の作業員の働く職場において、試用期間中の作業者(アジア系4名、ヨーロッパ系2名)選考の末3名を雇用したが、ヨーロッパ系2名、アジア系1名となったため、選考に落ちた3名が人種差別と訴えた。
3. 同じ職場で働く外国籍の作業者が、単純作業ばかりさせられるのは、差別と訴えた。
4. 会社の食堂にハラルの食事がないのは宗教上差別と訴えた。
5. イスラム教徒の作業者から、お祈りの時間と、場所が欲しいとの要望。
6. 現場にてヘルメットをかぶる事を拒否、宗教上の理由でターバンをかぶる事を要求。
7. 英語のしゃべれない作業者から、社内が多国籍語に対応していないのは人権侵害。

この様に挙げると、なにやら異常な事のように思われるかもしれないが、下線部分に注意していただくと、現在の日本の職場に於いても似たようなことは起きていないだろうか?
解答編は次回に続く、