連載コラム

第163号「直間比率」岩城生産システム研究所岩城 康智

 猛暑も一段落なのか、少し秋の気配も感じるようになって、一部を除きヨーロッパの経済状況はようやく落ち着いてきたようです。しかし、日本の企業においては、原価に対する厳しさはさらに明確となり、製造業の間接費について、さらなる削減が必要となってきている様です。
間接人員についての考え方で、かつて良く耳にしたのが、直間比率というもので、かつては1対10と言う話もありました。ずいぶん乱暴かつ大雑把な話ですが、事実これを元に閉鎖された事業所もあるのです。もちろん典型的な日本の製造業で、この様な数字は大昔の話で、業種によっては1対3もあり得るのです。つまり直間比率だけでは評価できなくなったと言えます。
また間接費用についても、その内容に注意して削減しないと、企業の将来を根絶やしにしかねない危険があるのです。なぜなら、コストの中には、効果金額を十分に査定できないケースがあり、経営管理においての計上項目は、時には正確に効果金額をを明確化できないことを知っています。
特に、開発、品質管理、生産性、に関わる部門については、これからの将来性に影響が大きいため、むやみに削減するのではなく、より高い目標を作るのが現実的と言えます。
具体的には、これらの部署から選出した、コスト低減チームを作り、設計変更も含んだ活動を行うと効果が出ます。
この場合、異なる部署からの参加を募ることが重要であり、チーム内においては部署間の壁(事情)にこだわれない活動をする事により、即効性のある現実的な提案がされ、我々はこれらの活動をVE.VA提案活動として、確実に原価低減につなげて行くのです。
またこれらの活動の責任者は、経費節減事項については経理担当部長が、設計変更事項については、設計開発部長が負うことになります。
間接部門にかかわらず、会社の中のおける組織ごとの責任分担の明確化は、組織の効率をあげる上で絶対必要条件ですが、方針についての意思疎通においては、とかく会議等の増加により効率の低下が起きるものです。それに対して、このように、プロジェクトチームを利用することで、間接部門の生産性は大きく向上し、同時に間接部門の改善活動への参加が実現するのです。