発行者 岩城生産システム研究所

 編集者 IPSインターナショナル
   平成24年10月1日発行 第157号
 ― 目 次 ― 

  
 連載コラム「生産現場の改善状況」 岩城生産システム研究所 岩城 康智



「生産現場の改善状況」

岩城生産システム研究所
代表取締役 岩城 康智

生産現場の改善状況を知りたいのは、管理者としては当然の事です。特に日本国内の生産拠点に置いては、海外の生産現場に比べどれくらいの競争力があるのかは、企業の存続を含め重要な経営基準となると言えます。以下に経営管理用の指標と計算方法を紹介します。
 生産現場に置いてコストを構成する物は、1)部品費 2)製造経費 3)管理費に分けるとします。
1) [部品費]
 (ア) 原料費:鉄鋼・銅・金・樹脂ペレットの様な物で調達部門の活動報告とします。効果の金額は年間予算にある物量で各月計算し、為替は年間予算で使ったレートで固定します。
 (イ) 外注費:外注より購入している部品で、計画的にコストダウンを要求する事が重要です。削減率は社内の削減率同様とします。また、外注部品の内製化については別途、製造経費の所で計上した方が良いと思います。
 (ウ) 引き入れ外注費:派遣その他の外部からの人員費用になります。限りなくゼロにするべく、計画を作成し、管理して下さい。
2) [製造経費]
 (ア) 人件費:現場に掲示する都合上、人員数のみの管理が現実的です。前記の引き入れ外注人員は忘れずに計上します。
 (イ) 直工時間あたりの加工高:その月の該当の製造課(ライン)の生産合計×本年度の仕切り単価を売り上げAとします。同様に原材料原価Bが計算出来ます。ここまでは、在庫管理システムより簡単に計算出来ます。次に、直工時間Cはその月の該当の製造課(ライン)の総加工時間×人員数で計算出来ますが、実際は人事・総務より簡単に情報がもらえます。(給与計算しているので。) (A − B) / C が加工高(円/人時)
 (ウ) 内製化費用:組み立てラインに組み込む事を考慮して、あえて部品費でなく製造経費の所に掲示します。部品費×予算の月間使用量で計上します。
 (エ) 品質:流出不良を生産した数量に対するPPMで計上します。同時に月間の件数で計上します。直行率にしないのは、特別品質管理を行なうためですが、主に、直行率は前記の加工高で管理するのが狙いです。
 (オ) 納入:納入遵守率%ですが、正確には仕向け先の納品期限を持って計上します。従って特便回数・特便費用をあわせて計上します。
3) [管理費]
 (ア) 管理費:予算に対して、コスト比率は厳守となります。従って売り上げが少ないときは大幅な節約が必要です。また、前記のそれぞれのコストの中で、予算と変化している物は±を明確にした上で計上管理します。
 (イ) 活スペース:毎月空いたスペースを金額勘定し計上すると同時に、このスペースは間接部門(通常工場長)の管理下とし、許可無く物を置く事を禁止します。
 (ウ) 活人:毎月省人化された人員を金額勘定し計上すると同時に、この人員は間接部門(通常工場長)の管理下とし、許可無く使用出来なくします。もったいないように感じますが、これらの人員を利用して現場の改善を行う事となるので、人件費の10倍を目標効果として改善を進めます。
 (エ) 改善効果:前記のそれぞれの金額と重複することもありますが、活人された人材をいかに有効利用出来たかを見る上で必要となります。改善効果はそれぞれ年間効果金額を累計して毎月管理させます。通常売り上げの4〜5%が目標です。
これらは、私自身が行なってきた管理情報の一例ですが、通常1)を工務担当、2)を現場担当、3)をSCM事務局に報告してもらっていました。
また、これらの指標は経理報告とは計算方法が必ずしも一致しませんので、数字を検証する事は意味が無く、あくまでも最小の手間で、必要にして十分な情報を導きだすのが目的です。精度を求めるが故に時間がかかると、行動が遅れる事となるため、通常翌月の第5可動日に報告出来るようにがんばってもらっていました。
              

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