発行者 岩城生産システム研究所

 編集者 IPSインターナショナル
   平成24年7月1日発行 第155号
 ― 目 次 ― 

  
 連載コラム「過剰品質の為価格競争に負けた」 岩城生産システム研究所 岩城 康智



「過剰品質の為価格競争に負けた」

岩城生産システム研究所
代表取締役 岩城 康智

先日某経済新聞に過剰品質の為価格競争に負けた旨の記事がありました。
 ここで言われるところの過剰品質には、物を売るにあたって付加価値を与えないものもあるのですがこれと区別する上で、製品の品質があります。
 これが過剰品質、つまり、品質が良いことが果たして価格競争にどのような影響を与えるのでしょうか。
 よく言われるところの、「うちは品質が良いので、価格が高い」と言うのは果たして正当であるのか? 作る方の気持ちからすると、余計に手間をかけたので、その分高いのは当たり前というわけなのだが、問題は何に手間をかけたのかという事。つまり、買う立場として欲しいことは約束どうりの品質であり、それを達成する為に、検査等にいくら手間をかけても、かかったコストを買い手に請求することは出来ないのが現実です。
 逆に、作る立場として、品質の良いものは本当に高くなるのか?もちろん実は逆に低くなるものです。
 品質が工程にて管理されるようになると、稼働率、歩留まり、手直し、品質管理コストが減るため、実際はコストは最低となるものです。従って、品質が良いので、安いというのが現実性のある話と言えます。
 我々製造業に従事する者として、「安いものを作る」と言うのは、常に目標と言えるのですが、それを実現する方策は品質が常に良い状態「不良ゼロ」である状態を作ることが近道と言えます。この場合、「不良を減らす」のではなく「不良ゼロ」を目指すことが肝心で、つまりは不良が出そうになった時に対処できる工程を作る事です。
 通常はラインを止めれば良いのですが、いつまでも止めておくと出荷に間に合わなくなるので、直ちに対応策を作り生産を再開するのが肝心です。
 実はこの為に現場の監督者を必要とするので、再発防止の為の活動の最初の一歩となります。そして、この再発防止活動の総責任者が工場長または、社長の仕事と言えます。
 このように考えると、最初にあるような話” 過剰品質の為価格競争に負けた”というのは変な話というのが理解出来るのです。

    以下次号


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