発行者 岩城生産システム研究所

 編集者 IPSインターナショナル
   平成23年10月15日発行 第148号
 ― 目 次 ― 

  
 「半導体事業の再生(6)」       岩城生産システム研究所 岩城 宏一

  
 「2011蓼科トップセミナー」      岩城生産システム研究所 井口 明久

  
 「第8回 ルビコン倶楽部」       岩城生産システム研究所 郡山 眞也


「半導体事業の再生(6)」

岩城生産システム研究所
代表取締役 岩城 宏一

半導体工場の無駄の数々(設備の無駄)
 設備による無駄は、これまでにも話題にしてきたが、ここでは、半導体の設備は必要以上に構造が複雑で、多くの無駄な部分がある。この号では、そのような無駄について取り上げたいと思う。
 設備に無駄な部分は当然設備費を高くする。通常の工場の設備でも多少の無駄な部分ある。しかし半導体の場合、このような通常の域を遥かに越えている。その壮大さは意図的とさえ疑いたくなる程である。
 先ず、“半導体は設備産業であり、多額の投資が必要”という業界の思惑を反映し、通常の設備では、“少しでも安価で使い易く”が製作時の重要なコンセプットである。しかし半導体関係の設備群には、そのような意図や工夫の跡は、少しも感じ取ることが出来ない。むしろ“より立派、より速く、より最先端”の指向が先行し、実際の仕事上で重要な“よりシンプルで簡便”さらには“安価であること”等は、二の次になっている場合が多い。
 現在新設される工場でも、このような重要な問題が反省されることなく、依然として続いている。それは言うまでなく、発注者側の問題意識の希薄さや対応策の欠如に原因がある。この問題の解決のためには、先に指摘したように、設備投資を偏重視し、仕事は請負任せ、設備は設備メーカ任せの現場離れした、業界の体質を改めなければならない。
 これ等の無駄な設備は、唯単に設備投資の増大を招くばかりではなく、実際の仕事上重要な問題を誘発する。例えば設備の維持管理が難しく、その為に何日も稼働を止めなければならない。また多くの設備については保守が、自分達では出来ないため専門業者に発注する。さらに今回の震災や停電のよう災害に脆く、その都度多額の損失を発生させている。
 さらに、業界の蘇生の為には、一段と高い水準のQCDの保証が必要である。そのためには、工程ごとの部分的な最適化ではなく、品物が移動する全体動線の全体最適化が、重要な改善の命テーマになる。設備は“出来るだけ速く、沢山”ではなく、前後工程の動きに連動することが求められる。
 このように、設備の働きに対する思想の変革は、当然設備の在り方を根本的に改めることになる。その方向は、より使い勝手のよい、シンプルで信頼性の高いものを追求することになる。
 例えば、トヨタ生産方式によって半導体工場を改革していく過程で、人の動作の無駄がなくなると、設備の中にある無駄が無視できなくなり、その改善は、さらなる全体強化上、避けて通れない問題になる。そのための具体的な進め方は、現在の設備を徐々に改善しながら最終的には、この新たなコンセプトに合致した設備を新たに製作することになる。
 このような指向に従い、現在の設備の大半は原型を留めない程の改善が加えられることになる。その改善の対象になる設備の主要な部分は、搬送系が先ずその対象になる。
                (以下次号)

「2011年蓼科トップセミナー」

岩城生産システム研究所
井口 明久

恒例となった「トップセミナー」が本年も9月末に蓼科ブライトン倶楽部にて行われました。今年は、”ドル為替70円時代の課題と対策”をテーマとして熱い議論が交わされました。



最後に
「現在推進中の生産性2倍の改善改革活動を進め全社に広げることが、本題”ドル為替70円時代の課題と対策”の対策である。経営トップが現場を離れずにいることに代わる、それのための妙手はない。」

と締めくくりました。

来年度のご案内
  1. テーマ:「70円対策継続」
  2. 日時:2012年9月14日(金)〜15日(土)
  3. 場所:蓼科高原

以上


「第8回 ルビコン倶楽部」

岩城生産システム研究所
郡山 眞也


 今年度のルビコン倶楽部(岩城生産システム研究所 門下生OBの集い)は新規入会5名を加え総勢23名が参加しました。2日夕刻から1年ぶりに再会し、お互いの健勝ぶりに 安堵しながらなごやかな歓談が夜遅くまで続きました。
 翌日は恒例に従い、三井の森蓼科ゴルフ倶楽部でゴルフを楽しみました。 皆様の改善意欲は衰えるどころかますます盛んで、ゴルフの平均スコアは前年より2.5ポイント向上となりました。

ルビコン倶楽部ご参加の皆様

三井の森ゴルフ倶楽部 からまつコース



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