発行者 岩城生産システム研究所

 編集者 IPSインターナショナル
   平成23年 5月15日発行 第138号
 ― 目 次 ― 

  
 連載コラム「継続は力なり」 岩城生産システム研究所 岩城 宏一



「継続は力なり」

岩城生産システム研究所
代表取締役 岩城 宏一

改善活動を長年続けていると、何時ものことながら、その継続が如何に大切であるかを実感する。私自身この仕事始めてすでに13年になろうとしている。改善を始めると、次々に課題が見えて終わることなく、今も多くの企業が長年にわたり活動を継続している。
 しかし中には、いろいろな事情で、当社との関係を終わる場合がある。その理由の大半は“これからは自分達でやっていく”ということである。しかしその結果は殆どの場合活動は停滞してしまい、現状の維持も出来ない例が多い。
 その原因として、これまでに習得した改善手法に対する理解上(例えば、多くの改善は、次の段階に進むための重要なステップになっている)の問題で、その手法を発展させることが出来ず、単なる横展開や維持に留まっていることが見うけられる。
 しかし、このような技術上のことより重要な問題は、現状を変えなければならないという、会社内のチャレンジ精神の衰退にある。もともと“自分達でやる”と言い出すこと自体、チャレンジ精神の衰えに誘発されており、そのような変化は殆どの場合、それを推進していた会社トップの交代によって生じる場合が多い。
 今回の東北地方災害復旧対して日本中の結束ぶりは、世界中の注目の的になっている。このことは我々に重要な教訓を与えている。それは、普段は平凡に暮らしている人達が、はっきりとした目標を掴むと、人々は結束し素晴らしい力を発揮するということである。
 改善が継続出来るか否かは、今回の震災のように、会社を蘇生に向かって会社中が結束して行動出来るか否かによって決まる。このことは、言うまでもなく経営トップのリーダーシップに関わる問題であり、経営トップのリーダーシップのないところでは、もはや改善に向かっての皆の求心力を維持することはできない。求心力の消滅によって、皆の会社の将来への希望がしぼみ、会社組織としての活力を失っていく。
 会社が倒産しそれを整理することには手を貸してくれる人はいる。しかし、本当に会社を支えてくれる人は従業員しかいない。特に経営の任にある人達は、他への漠然とした依頼心を断ち切り、“自分達の城は自分達で守っていく”の決意を固めることが重要である。経営統括の任にある限り本人の意思に関係なく、その厳しい任務の遂行が求められ、その責任は重い。
 生産現場の2倍の改善は、これまで何回も挑戦してきたことである。しかしこれからもさらにそれは可能である。その効果は、少々な会社の危機も十分突破出来る程大きいものである。会社の蘇生の最大のポイントは、それが成るまで、決して止めないと云うことであろう。

以上


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