発行者 岩城生産システム研究所

 編集者 IPSインターナショナル
   平成23年 3月15日発行 第134号
 ― 目 次 ― 

  
 連載コラム「二倍の効率改善 (1)」 岩城生産システム研究所 岩城 宏一



「二倍の効率改善 (1)」

岩城生産システム研究所
代表取締役 岩城 宏一

前号で案内した「ものづくりが国を支える」の私の著書の中で、いろいろな分野での「二倍の効率改善」の話が、しばしば取り上げられている。もしこの改善が現実に出来れば、現在の各社の苦境も一変する。要は実際に如何にして二倍の改善を行うかだけの問題である。
 この課題の提案は仮定の話ではなく、実際に我々は実現してきたことである。それは、生産現場の効率改善に留まらず、品質、新製品開発、営業等、経営活動総ての分野で経験してきている。 「二倍の効率改善」上の重要な改善の着眼点は、会社の目標に向かって、全員が一致団結して行動出来るようにすることである。
 このように提案してみると、大概の人達が程度の差はあるが、「当社はそのようなことは出来ている」として、出来ていないとは決しては云わないであろう。しかし実情は、皆が一致団結するとは、具体的にはどの様な事であるかさえ正確に理解していないのではないだろうか。ましてや、そのことが「二倍の効率改善」を行う上での、直接的な手段とは気づいていないだろう。
 この問題を理解するために、先ず現在自分の目の前で行っている仕事、例えば書類の作成業務でも、毎日半日で仕上げることを一週間試みてみると良い。
 作成者が力いっぱい常に働けるように、タイミング良く作成依頼がきているだろうか。
 仕事待ちになっていないか? せっかく作成した書類が、放置されることなく使われているだろうか?
 またその書類の目的とは何にか。本当に会社にとって必要なものか? 等々
 これらの問いに対して、その作業や書類を、直接手にとって点検してみると良い。大概はその酷さに愕然とするのが普通である。 念のため、ここで求めている「一致団結している」ことについての条件をあげて置くと、
  (1)会社は生き続けていかなければならない。そのことを保証する為、会社として実現すべき長期目標が明確になっていること
  (2)その目標に至るための、節々の中間および直近目標が設定されており、それに向かって各組織および組織内の人々が、完全に連携して行動していること
 このような条件を、一致団結について付してみると、評価点がゼロまたは良くて30点以下、ということが納得できるであろう。それは肝心な、会社全体目標が極めて曖昧であること、またあっても組織に殆ど浸透していないためである。
 この問題について、100点満点とは云わずとも、50点程度でも改善できれば、社内の風通しが良くなり、ここで提案する「二倍の効率改善」は愚か、さらに三倍、四倍の改善の可能性を、働いている人達も実感できるようになるであろう。
 このことは、既に述べて様に実際に実現出来ることであり、働いている人々が連携することなく、ばらばらになっていること、即ち組織的に機能していないことよって発生する無駄の大きさは、我々の常識を遥かに超えるものである。

以下次号



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