発行者 岩城生産システム研究所

 編集者 IPSインターナショナル
   平成22年 12月1日発行 第127号
 ― 目 次 ― 

  
 連載コラム「間もなく師走(2)」 岩城生産システム研究所 岩城 宏一



「間もなく師走(2)」

岩城生産システム研究所
代表取締役 岩城 宏一

経営企画や新製品企画の問題は取りあえず別な問題として、組織効率の向上に関しての改善は、総ての改善の中で、全職場を視野に入れた改善が優先である。それは、前述のように無数の動作の改善の全職場の総和は、大変大きいものである。しかし、より大きな動きの無駄が残っていると、一つ一つの改善効果が、その中に埋没し総和としても消滅してしまうためである。
 全職場に関連する、より大きな動きの無駄として典型的なものは、拠点間、職場間、作業者間に溜まる仕掛品である。これがある限り、個々の改善効果は、この仕掛を増やしたり減らしたりの増減に吸収され、全体としての出力に繋がらないためである。
 これらの仕掛は言うまでものく、お互いが連携していないことに原因がある。即ち、極端に言うならば、お互いが全体の事を考えないで、勝手に動いているということであり、その無駄は個々の動作の中にある無駄に比較し格段に大きい。
 この無駄は、作業している人達の責任ではなく、現在の、生産管理部からの生産計画による生産の方式にある。この無駄を無くす手段は、ご承知の通り、横持ち工程を縦持ちに変えて、下からの引きに同期して作業するように生産の方式を改めることである。
 さらに、お互いが同期状態を維持していくためには、日々の全体の動作が変化しないことが重要になる。これは数百人の人々が整列し、整然とパレードしているとき、その行進曲が不意に変わることなく、設定どおりに曲を移していくのと同様の理由である。
 このことは、我々は品物を少量ずつ造り、市場の変動を店で吸収して、生産を平準化することによって解決している。毎日設定どおりの品種の順番に生産すること体験してみると、纏めづくりをやめて少量ずつ造ることの大切さが、良く理解出来る。それは、個々の動作の無駄とりではなく、より大きな無駄の発生原因である、現在の生産方式の悪さを改めることになる。
 我々の師走から来期に向けての活動は、各社とも仕掛在庫のさらなる半減をめざすことになる。その狙いは、全社の人々の行動の連携を良くして、全社の組織効率を向上することにある。その目標は、現有人員と設備で2倍以上の受注量をこなすことである。


以上


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