発行者 岩城生産システム研究所

 編集者 IPSインターナショナル
   平成22年 11月15日発行 第126号
 ― 目 次 ― 

  
 連載コラム「間もなく師走(1)」 岩城生産システム研究所 岩城 宏一



「間もなく師走(1)」

岩城生産システム研究所
代表取締役 岩城 宏一

今年の夏の暑さはまるで嘘のように、昨今は急に冷え込んできて、いよいよ冬の到来を感じる。高原地帯の紅葉は、11月半ばまで暖かい日が続いたため、例年のような鮮やかな色を見ることなく、その多くが散ってしまっている。
 持病を抱えながらの一年であったが、幸いこの一年は体調を壊すことなく、充実した日々を過ごすことが出来た。特にお世話になっている各社の活動が、時間の経過と共に確実に育ち、不透明な状況の中で着実に成果あげていることは、大きな励みであった。
 長年このような仕事をしていると、自分達のやっていることの内容について、徐々に理解を深めてくる。その中の一つとして、通常の改善では10%や20%程度が相場であるが、我々の改善では2〜3倍以上で、その効果は桁違いに大きい。この改善効果の違いが、何よるものかは、これまではかなり漠然としたものであったが、最近では、その正体もはっきりしてきた。
 会社の中にはいろいろな無駄がある。その無駄を層別してみると、反社会的な行動等により会社が無くなること。経営企画、例えば事業撤退や創業等の失敗によるもの等は最悪で、会社に対するダメージ甚大である。
 さらの身近なものとして、売れない新製品開発、無用な設備投資等、これ等も相当の無駄な出費を伴う。一件当たりの金額は、会社に致命傷を与えるほど大きくはないが、その発生件数はかなりの数になる。その総額は、会社の体力を損なうには十分な金額になるであろう。
 世の中で一般的に改善の対象としている無駄取りは、多くの場合、作業動作の中にある無駄な動きを無くすことである。そのため、この無駄は、前記の各種の無駄に比較すると桁違いに小さい。しかし、その小さな無駄は会社中の総ての人々の動きにあり、その件数は他の無駄とは桁違いに大きい。その無駄による総額は、当然会社の存続を左右するほどおおきい。
 我々の改善も、当然世間並みに作業動作の中にある、無駄取りも指向している。しかし我々の改善には、次の2点の重要な指向性がある。その一つは、モデルライン等の個別的なものではなく、常に全職場の人々の動きを視野に改善していること。さらに、個々の改善効果を持続するために、相互の関係、即ちお互いがジャストインタイムに、行動するように改善をしている点である。
 以下次号に続く

以上


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