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発行者 岩城生産システム研究所 編集者 IPSインターナショナル |
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平成21年11月1日発行 第101号 | ||||
― 目 次 ― | ||||
◆ 連載コラム「疑問に応える@」 岩城生産システム研究所 岩城宏一 |
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滑竢髏カ産システム研究所 代表取締役 岩城 宏一 |
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先日友人の方より下記のような問題提起がありました 1、トヨタ生産方式は、現場改善の考え方であって、経営政策(or経営戦略)次元ではないという理解があり、最近の経営戦略論では「現場改善は戦略展開の邪魔になる」という議論が行われているようです 2、私はこの点について、経営戦略策定は本社の机上でではなく、製造・販売現場を熟知しているスタッフが策定・展開して初めてうまくいくことを主張しました。 トヨタ生産方式は現場改善と経営戦略との関係を明示する必要があると思いますがいかがでしょうか。 この件は、皆さんも重要な関心事だと思います。私も友人の「経営戦略策定は本社の机上でではなく、製造・販売現場を熟知して初めてうまくいく」という意見には、まったく賛成です。経営に関するこのようなの現場離れの一部の風潮は困ったもので、諸悪の根源とさえ思っています。以下にこの問題について、私見を掲載します。 経営における生産活動の位置づけと、トヨタ生産方式の経営に及ぼす影響について; 先ずメーカの仕事の中身は、実質的には「売れるもの開発して造って売る 」ということにつきます。したがって経営活動は、製品開発、製造、販売がその幹になっています。特に三つの組織の中でも、生産関係は、社内のソフト的な働きを、具体的な”物”に変換する重要な部署で、その弱体は健全な経営活動を祖害します。従って生産は経営活動そのものであり、しかもその他の活動の土台を支えている。そのため、生産抜きでは健全な経営活動は成立しない。 また経営は、第一義的には会社が駄目にならないように持続することに,その目的があります。メーカの場合、そのためには、会社の製品の機能、価格、時期(販売タイミング)が市場のニーズに的確に応えて、売れつづけていることです。 これらの三要素の中で、新機能は開発部門、価格、時期は生産部門の各々が、最前線の戦いを先導します。しかしそれらの活動は、その会社の地力、即ち組織力が下支えしていることになります。 その戦闘的な組織力は、先ず第一に会社目的に向かって、全員のベクトルが揃っていることが重要であります。特に三つの組織の中でも、生産関係は要の部署で、前述の通り、その弱体化は他の部門が如何に優れていても、組織として正常に機能しないことになります。 特に生産のリードタイムが長くなることは、会社のメイン機能である”造って売る”ことの機動性を損なうことになり、経営活動の硬直化を招きます。生産の外部への委託は、3機能の内でも要の生産を切り離すことになり、経営活動そのものを破綻させます。例えば、社内では3日手番のものが、海外委託では30日には確実にのびます。この違いは、現在のように変化の激しい環境の中では、経営の致命傷になる。 (以下次号) |
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