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発行者 岩城生産システム研究所 編集者 IPSインターナショナル |
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平成21年10月1日発行 第099号 | ||||
― 目 次 ― | ||||
◆ 連載コラム「定年制への改善提案」 岩城生産システム研究所 岩城宏一 |
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滑竢髏カ産システム研究所 代表取締役 岩城 宏一 |
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定年制への改善提案、経営者の人事を支配しているのは、多くの場合本社の統括責任者や担当部署である。このことが問題なので、止めてしまえと言っても現実的ではない。現状の仕組みを踏まえ、運用面での改善だけでも可なりの効果を期待することが出来る。 そのため、先ず本社の業務に着目してみると、その役割が現在では大きく変ってきていることに気付く。かっては、我が国の会社のトップには、厳しい経済環境の中で、仕事を自ら掘り起こし、それを育成してきた人が多い。そのため、実務を熟知しており、文字通り事業育成上の中心であり、部下に対し実際の仕事を指導してきた。 しかし現在では、会社の規模が大きくなり、組織が整備されて分業化が進んでくると、経営層は直接業務から遠ざかり、実際の仕事の内容を把握できなくなっている。そのため、経営者の重要な仕事である、経営方策の掘り起こしや、その推進については、殆ど部下任せになりがちで、主な仕事は収益に関する予算上の達成等の管理に終り勝ちである。実質的には銀行や証券会社の業務を代行している感さえする。 このような傾向も、多額の外部資本に依存している現状では、或る程度は止む得ないことではある。しかし、これを正常に戻すのは一朝一夕にはとても出来そうにない。そこで実態に即して、本社の業務を“従来のようにグループ会社の経営活動を指導統括するのではなく、今や配下の企業の経営収支を統括することである”と、見直してみたらどうだろう。 その上で本社は業務の関係上、収益を向上の寄与度のみから人事権を行使し、予定の収益を上げているかぎり、その人事は、直接仕事の現場に近い事業部等に任せ、余計な口出しはしない方が良い。即ち誰を経営者に任用するかは当事者達に任せ、定員の枠内で年齢等には関係なく収益への寄与度を判断基準に、誰を残すかを決めればよいと思う。 或る会社の例であるが、役員の席が定員制になっており、決められた年齢になると、どんどん入れ替わっていく。同じ定員制を維持するのならば、辞めてもらう順番を、年齢では無く仕事上での成果の大小の順にやめてもらう方が、余ほど建設的である。 しかし、このような割切りは判ってはいるが、なかなか実行に移せない事情がある。その一つには、成果を決算上の数字のみで判断することは、長期的には、会社組織が健全に機能しなくなる恐れを感じていることであり、さらにその様な客観的な基準ではなく、個人的な思惑によって人事権を行使することの魅力を断ち切れない等であろう。 人々の成果を正当に評価することは、現状では難しい問題である。しかしこのことはいずれ解決するとして、当面は、定年制を基本的には踏襲しながらも、20%程度の枠を例外として、年齢ではなく成果を基準にしたら良いと思う。しかも、成績の良い順に残すのではなく、駄目な順に交代させる。現場離れした本社には、多くを期待することは出来ないが、駄目な人の層別くらいは出来るのではないだろうか。 (以下次号) |
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