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発行者 岩城生産システム研究所 編集者 IPSインターナショナル |
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平成21年9月15日発行 第098号 | ||||
― 目 次 ― | ||||
◆ 連載コラム「定年制度が組織を弱める」 岩城生産システム研究所 岩城宏一 |
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滑竢髏カ産システム研究所 代表取締役 岩城 宏一 |
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生産革新を進め、それを足場にして、経営革新に向かってある程度の成果をあげるためには、少なくとも数年の年月が必要になってくる。しかも、その活動の成否は、その活動を先導している役員クラスの、リーダシップに大きく左右される。そのため、役員クラスの人事の去来は非常に大きな影響を受ける。 しかし、現実は仕事上の必要性より年齢的な制約によって、次々に退任、新任が繰り返されている。そのつど、改善活動は方向転換や、ゴー、ストップを繰り返している。このような無用なエネルギーの消費をさけるためには、人事面での改革が必要不可欠である。特に大手の企業においては深刻な問題であろう。 このような、定例的な年齢優先の人事は、大手の企業のみならず官庁を初め、現在では普通の現象であろう。官庁等の制度の維持を前提に仕事をしている場合は、その弊害は限定された範囲に留まるかもしれない。しかし、いろいろな変化の中で、厳しい生存競争を繰り返している企業では、あっという間に会社を破綻に導く。 例えば数年の努力の結果立派に再生出来た会社が、あっという間に債務超過に近い状況に急落してしまっている。どうしてこんなことになるのだろうと思い、その会社を訪問して見ると、会社再生の源動力であった生産現場は、少しも変わることなく、しっかりとその活力は維持されている。しかし当時の改善をリードしていた社長を初め、役員クラスの主だった人達が、定年制度によって、次々に退任してしまっている。その結果、会社強化の勢いが失速して、物つくりの強さが、経営に活かされていないためであった。 私が知る幾つかのこのような例は、何処にも負けない強い生産工場を要しながら、仕事が無く工場が殆ど稼動していない場合が多い。その内情は、“市場が不況で物が売れない”とか“安物は当社の体質に合わない”等々の理由をあげ、相変わらず社内にとじこもり、受注獲得のために積極的に市場に出て戦っていないことが目に付く。 会社はいろいろなリスクの中で生きていかなければならない、そのために生産現場を強化してきたのである。最近のように不況な時こそ、その力を活かし他社を引き離す絶好のチャンスである。実際にこの不況時を機に、競合他社を圧倒的に引き離した会社も多々ある。そのような会社の社長をはじめ経営者には、 “自ら組織を動かし自力で生きていく”という自覚が、その行動の原点にある。 このようにトップ人事は、企業の明暗を直接分ける。その重要性を前提に、現在の制度の中でもいろいろなは配慮がされている。しばしマスコミの話題を呼んでいる人事の若返り等は、その重要性についての関心の強さを示すものであろう。しかし、このような試みも、かならずしも成功しているようには見えない。その主要な原因の一つとして、ただ若さだけでは消化できない、多様な内容が経営者の仕事にはあるためであろう。 (以下次号) |
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