発行者 岩城生産システム研究所

 編集者 IPSインターナショナル
   平成21年6月15日発行 第092号
 ― 目 次 ― 

  
 「生産革新を成功に導くためにB」 岩城生産システム研究所 岩城 宏一



 「生産革新を成功に導くためにB」

滑竢髏カ産システム研究所
代表取締役 岩城 宏一


組織の再生とその運用

 会社組織の機能の低下は、現状はかなり深刻である。重要な任務を担いながら、任務を遂行していないばかりでなく、その真の役割さえ自覚していない人が多い。
 その原因は、経営者のリーダシップの衰退にあるが、それは経営者自身の資質と能力の問題の他に、長年維持してきた現在の組織の在り方にも問題がある。
 現在の多くの企業の組織は、依然として中央集権を志向し、それによって全社の組織の引き締めをしようとしている。しかもその傾向は、ことあるごとに強化しようとしている。
 市場の国際化や多様化に伴い、現在の企業の業務は専門的で複雑になってきている。そのため、中央で総てを集中的に管理することは難しくなっている。従って総てを中央で管理するのではなく、責任分担を明確にして、下部組織に管理を委譲せざるを得ない状況にある。

 権限委譲のためには、中央と下部との任務分担を明確にし、管理の委譲基準を明確することが必要である。その合理的な基準の設定にあたり、次の二点は重要な前提条件になり、それは此れまでの重要な意識の変革を伴う。
 その第一は、管理の対象となる、下部組織または実務者を自発性に富む者、即ち性善的として捉えることである。それによりその基準は、担当業務ごとに自己管理が前提になる。一方従来のような(概して性悪的)場合、限りなく細部に亘る管理を志向し、最終的にはその人の人格のすべてを支配すること欲する。そのため委譲の基準は管理に要する労力の有無になり、自主的な経営参加を前提とした積極的な権限の委譲は成立しない。
 大切なことは、本来人は自発的に働くものとして、そのために中央で管理しなければならない事項を抽出しなければならない。しかもその管理は、自己管理が前提になるため、従来のように直接部下等を管理するのではなく、中央又は経営者は、自分の担当業務を完遂するために、自らを管理する事項に他ならない。
 このように考えることにより、組織のなかでの、経営者の役割がより積極的なものとして顕在化する。即ち、経営者は、実際の職場での人々との交流の中で、始めて自分の意思を伝えることが出来、リーダシップを発揮出来る。これまでのように、役員室で部下への指示や報告のみでは、会社の実態の把握や経営の意思を、社内に伝えることは出来ない。


以上


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