発行者 岩城生産システム研究所

 編集者 IPSインターナショナル
   平成21年5月15日発行 第090号
 ― 目 次 ― 

  
 「生産革新を成功に導くために@」 岩城生産システム研究所 岩城 宏一



 「生産革新を成功に導くために@」

滑竢髏カ産システム研究所
代表取締役 岩城 宏一


 私達は生産革新によって、多くの会社の体質強化や再生を試みてきた。その中には、成功した例も沢山あるが、多くの失敗例も体験してきた。その失敗例をみてみると、その殆どが、生産現場の強化には成功しながら、稼動に必要な仕事を確保できず、結局工場の縮小や売却という事態になっていた。このような問題は、生産現場に始まった革新が、会社全体の改革まで及ばなかったことにある。

 強い生産現場は、それを必要とする強い経営があってはじめて維持できる。また生産現場の強化は、強い経営づくりの重要な礎石であり、経営改革そのものである。そのことを理解せず、せっかく会社改革を進めながら、道半ばにして挫折していく。このようなことは、改善を実際進めてきた人達にとっては、大変残念なことである。

 このような体験を通じて、われわれの活動は、生産革新に留まることなく、同様に、経営革新をすすめていかなければならないと思っている。実際にこの改革に着手して見ると、問題は山積し、着手の手掛かりさえ見出せない。あたかも雲の遥か彼方に聳える8千メートル級の山の登頂を、麓の里からめざすことに類似している。

 しかし、頂上までの基本ルートを見定め、足元から問題を改善しながら、着実にその道筋を辿り、歩を進めることにより、登頂ルートが次々に目の前に開けてきて、必ず頂上まで踏破出来る確信を深めることが出来る。 実際私の知る多くの会社が、このような改革を進めている。

 その活動は、一歩一歩前進するごとに、未経験な変化をもたらしている。自分達の後方に遠ざかっていく他社の姿や、新たに出現する景色に驚きや感動しながら、最終ゴールの新たな組織の構築に向かって改善をすすめている。

 このように、改革を成功に導く要件として、我々がそのための努力を怠らないことは当然であるが、それ以前の問題として、その会社の経営者の、改革のためのリーダシップは不可欠である。

 組織の改革を志す経営者は、一般的な関心に留まることなく、改革に多くの時間を費やすことを厭わず、その先頭に立って改革を先導する必要がある。

そのことが、経営者にとっては、最優先の任務であるはずが、現実はその優先順位は人様々であり、このことが、生産革新の成否に重要な影響をもたらしている。

 このような現実を目にしていると、経営者の皆さんには大変失礼なことを申し上げ恐縮ですが、会社組織の蘇生に関し、他の目的のために起稿した文書を以下に引用させて頂きたいと思います。

会社組織の混乱として、先ず目に付くことは、リーダシップ上の重要な影響力を持つ経営者の経営力の低下である。経営企画力、判断力、行動力等重要な部分で、その状況に対しての妥当性や力強さを感じない。概して月並みで、マスコミやビジネススクールのレベル的な一般論に止まっている。 新聞紙上で報じられているよな、今だに反省もなしに繰り返される、会社の合併による規模の拡大や仕事の海外委託など、それによって本当に会社の体質が強化できるのだろうか。

 さらに、統括を担当する経営者や管理者の、実際の仕事の実践の場である、生産、開発、営業等の仕事の現場からの遊離は驚くほどである。このことは、目の前で展開されている現実より、一般論に従う安易な経営姿勢そのものであり、このような中に、適切な経営のリーダシップなぞは当然期待できない。経営のリーダシップの衰退は、会社組織の混迷と停滞を招き、その責任は重大である。


以下次号


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