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発行者 岩城生産システム研究所 編集者 IPSインターナショナル |
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平成21年3月15日発行 第086号 | ||||
― 目 次 ― | ||||
◆ 「危機を乗り越え企業の明日を開くA」 岩城生産システム研究所 岩城 宏一 |
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滑竢髏カ産システム研究所 代表取締役 岩城 宏一 |
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現在の異常な受注の落ち込みは、実需要の減少ばかりではなく、当然在庫調整による影響を受けています。このことは、需要復活の折には、いわゆる回転在庫または適正在庫と称される在庫分も、当然実消費に上乗されることになります。しかも、各工程または各工場を経由するごとに、実需要に対し余裕分を上乗せして発注されるため、末端では実消費の2倍程度の数字は、直ぐ飛交うことになり、その結果 “造くれ、造くれ”の大合唱になるのが普通であります。 このことを当然予測し、今の時期に対策を講じて置く必要があるのです。 その対応上、先ず重要なことは、市場の状況を察知し、迅速にそれに対応出来るように、経営の管理機能を蘇生しておくことであります。このことは、言葉では分かっていても、いざ実行ということになると、なかなか思うようには進まないのが常であります。その最も大きな原因は、職場全般に蔓延する無駄な動きであり、その無駄の典型的なものが、会社全体としてまとまりがなく、各々がバラバラになっていることであります。 在庫は、その無駄の具体的に目で見える形として顕在化したものであり、そのため、在庫の大小は無駄の大小そのものであると言えます。従って品物の停滞をなくし、在庫回転率が良くなるということは、会社全体のまとまりが良くなり、効率の良い組織になることです。ましてや40回以上も在庫が回転するということは、打てば響くような機動力のある、対応の速い会社であると言えます。 そのような会社は、かつてない速さと徹底さをもって、不況から景気回復への備えを展開することが出来ます。例えば、間接門のスリム化は、多くの企業とって、長年の懸案事項でありながら、容易に実現出来なかった問題でありますが、間接人員50%以上を直接部門へ移動する等、実際に進めているのです。 当然これらの会社は、景気回復時“造くれ、造くれ”に、あわてて人員のかき集めに奔走するのが、世の常でありあますが、事前に教育訓練された現在の在籍人員を主力にして、まわりの混乱を尻目に快走していくことになるでしょう。 前述したように、仕掛かり在庫は、各自が勝手なことばかりして、纏まりが悪くなっている。その結果多くの、機能しない間接要員をかかえることになるのです。多少の差はあるとしても、殆どの会社がそのような状態になっていると言っても過言ではありません。 このような状態は、仕事の中のいろいろな無駄の中でも、大変大きな無駄の部類には入ります。そのため、通常の仕事の中での無駄とりを進めても、その成果がこの大きな無駄に吸収されてしまい、全体の成果(決算収支)として効いてこないものです。 このように、高いレベルの在庫回転率の実現は、会社組織活動上いろいろな問題解決のための、大切な前提条件であります。そのため、現状では会社全域に停滞する仕掛かり在庫の削減は、最優先の改善事項であります。 私達はいろいろな改善を試みています。しかし、大切なことは、今この時期に何を改善しなければならないかの、明快な経営判断が常に機能し、個々の改善を先導していることです。 私の周りでも、個別には興味深い改善例を沢山みることができます。しかし独りよがりの改善が多く、それは殆ど経営危機突破のための対策になっていない例が多い。そのため、せっかくの改善が、冒頭の“消灯”“旅費節減”等の、横並び的な経費削減と、全く同類のものになってしまっている。 このホームページの読者から、ダーウインの次の言葉を引用し、コメントを頂いた。それを以下に紹介させてもらいます。 “生きる種(企業)とは、 最も強いものでもなければ、最も知的なものでもない。最も変化に適応出来る種(企業)が生き残るのだ!” ※( )内、筆者注 ついでながら紹介しますが、この投稿者の所属する会社は、失礼ながら長いマンネリの中から、この数年間で驚異的な変化を成し遂げてきております。その変化の中で、このダーウインの言葉を、実体験してきていることが想像できます。まさに、 “自らの環境の変化を敏感に感じ取り、それに適合するために、自らの在りようを変えることこそ、経営であり改善である”ことを、我々は忘れてはいけないだろう。 停滞在庫の半減を目標に、日々のお互いの仕事の仕方を改めることこそが、この危機突破のために、最も効果的な改善項目であろう。 以上 |
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