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発行者 岩城生産システム研究所 編集者 IPSインターナショナル |
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平成21年1月15日発行 第082号 | ||||
― 目 次 ― | ||||
◆ 「DRAM文化からの脱却〜半導体業界の再生を目指してA」 岩城生産システム研究所 岩城 宏一 |
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滑竢髏カ産システム研究所 代表取締役 岩城 宏一 |
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半導体の生産工程には、確かに設備を必要とする工程もある。しかし、その主なものは、数種類の工程に限られ、設備を使わないで出来る仕事、または設備を使わない方が良いものが沢山ある。要は設備崇拝主義にもとづく、設備化のやり過ぎが随所に見受けられる。 また、多くの設備そのもの機構に、用途目的上から無駄な部分が多く、普通の常識では考えられないほど、高額なものになっている。これらは、膨大な設備投資を必要とするばかりでなく、仕事そのものを複雑にして、それを運用するために、膨大な付帯投資や経費を発生させている。 異常にさえ思える、これらの生産工場の出現は、先に述べたように“半導体は設備でないと造れない。その設備のため膨大な投資が必要”のもとに、“設備投資競争”に走った業界の所産であろう。 現在の半導体関連工場は、普通の在来製品の世界で生きのびてきた私には、まったく別世界の観がある。まずその驚きは、半導体の生産現場の入り口での厳重な防塵服への着替えである。このことを“異常”と感じるか“これこそが半導体工場”だと感じるか?その感性の違いが、その後の工場の構成や運用の仕方は、まったく異なる道を辿ることになる。 “Dram文化からの脱却”は、“これこそが半導体工場”だという業界の常識を“これはおかしい”と気づくことから始まる。先ずクリンルームからはじまり、クリンルーム内を満たす膨大な設備群。その設備群を制御するための、コンピュターシステム等々。それらに関連する膨大な諸費用。 これらは、いずれも実際の加工上の必要性より“半導体は特別”“設備でないと造れない”との思い込みのもたらした結果である。そのための経費は、直接生産に必要な経費を遥かに越えている。良くぞこれほどの無駄をやれたものだと驚く。このような体質は、業界再生のための如何なる施策をも、破綻させることになる。 最近の新聞紙上で報道される大手企業間の合併や併合の動きは、最後の生存をかけた業界内の再編として、社会の注目を集めている。しかし当面のライバル間の競合を解消し、規模の拡大は出来たとしても、勝ち残った企業が存続できる保証はない。逆に益々、本質的な問題の解決を難しくしている感さえある。 周知のように、現在では半導体製品の実際の市場価格は、業界が追従できる水準を超え、大変厳しい状況にある。しかしこの価格は、同業者間の競争より、社会が必要とする市場価格によって、より強く支配されている。その社会のニズーに対応出来なくなっている主原因は、業界そのものが内臓する、膨大な無駄そのものであろう。 業界は販路の拡大のため、いろいろな用途を開拓してきた。その結果、その価格と品質水準は、その用途、即ち組み込まれる商品の許容枠内で決定される。そのため、業界が先ず競い努力しなければならないことは、同業者間ではなく、他の関連製品と同じ水準の、価格や品質を実現することである。そのため、この価格品質を支える生産過程は、他の製品のものに比較し、半導体のみ特別なものであることは、当然許容出来ないことである。 現在の半導体工場の生産工程は、通常のもの比較すると、前述したように、その特異さは、許容限界を遥かに越えている。そのため、そこから生産される製品は当然原価品質や、さらに信じられない程の長い生産手番、などの問題を起こしている。そのことが、業界の収益悪化に拍車をかけている。 (以下次号につづく) |
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