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発行者 岩城生産システム研究所 編集者 IPSインターナショナル |
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平成20年9月15日発行 第074号 | ||||
― 目 次 ― | ||||
◆ 「自己管理を前提にした経営改革⑤」 岩城生産システム研究所 岩城宏一 |
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㈱岩城生産システム研究所 岩城 宏一 | ||||
このような取組みは、人や組織の成長のために極めて重要なことであり、理想的な組織運用の一つであろう。目標実現型の経営では、多くの場合会社の生き残りをかけ、自己改革を常に業務の中で指向している。そのため、挑戦的な仕事の展開は、至極当然のこととして日常的に行われることになる。このような経営の実際は、従来の生産現場がトヨタ生産方式に移行する過程での、 生産工場の変化の過程を通じ見ることが出来る。 トヨタ生産方式への移行時設定された目標値、生産性3倍、在庫削減70%減等は、普通では信じられない程高いものである。これらの目標値は、実現の可否ではなく、海外への流出から自らの職場を守るために、必要不可欠なものとして設定されたものである。 しかし、実際にそれにチャレンジしてみると、2~3年後には、目標をことごとく達成し、現在では当初目標を数倍をも越え、その記録をさらに更新し続けている。このことは、まわりの人々のみならず、働いている人々自身さえも、自らの大きな変化と成果に、驚きと喜びを感じている。 このように“人が育ち組織が育ち会社が成長する”様子 を振り返って見れば、それが単に生産現場のみの特異な例としてではなく、広く人間組織に共通する普遍的な原理である。人や組織は限りなく成長する。しかしその成長は、成長を必要とする環境の醸成が必要不可欠である。経営の場におけるその環境とは、人々や組織の成長に経営の将来を託し、高い経営目標実現に向かって、会社ぐるみで挑戦し続けている状態であろう。 実際の経営活動でこのことを実現する為には、これまでに述べてきたように、経営計画の作成と実行のプロセス、即ち計画の起案、審議、決済、実行、反省等所謂、PDCAを回す会議体を先ず整備し、少なくとも数年は(組織の大小はあるが)その試行を根気強く継続していくことが必要である。なぜならば、実際に定着し機能する為には、これまでの会社全体の風土を改革し、新たな風土を醸成のためには、忍耐強い活動の継続を必要とするためである。 現在経営を担当する人々には、このような会社組織改革こそ、リーダシップを取らなければならない、最大の任務であると思う。しかし、実際の経営の現状をみてみると、このような活動を目にすることは極めて稀である。そればかりでなく、そのような取り組みが益々困難状況にある。 それは、経営者に対する社会の期待または要求が短期的な成果に偏り、そのの強制力は、資本を介して益々影響力を増している。また役員の任期も現在では長くても数年が限度で、長期間の取り組み必要とする、このような経営活動の大きな阻害要因になっている。 そのため、経営管理の仕組み(PDCA)を構築して、経営者個人としてではなく、経営機関としてのプロセスみを確立し、それを通じて経営方策を、次の世代に伝承しながら、徐々に社内の改革を進めていくことが必要である。経営計画を軸とした、風土改革の絶好の機会は、実際の改革を見聞また体験を通じ、 “これは凄い、俺達もやろう!”という動向が社内に見え始めたときである。この時期、先導している改革の為の“PDCAのプロセス”の一層の徹底をはかり、風土改革を全職場に広げ、より確実なものにしていくことである。 生産現場のトヨタ生産方式への移行の進展は、まさにそのことを、実際に見聞また体験することであり、会社の風土改革上の絶好の機会を提供している。 この機会を生かして、“維持を前提にした予算管理型の旧来の経営を、改善または変わることを前提にした目標実現型の経営に転換し、その経営組織と運用を統制型から自己管理型に変える”なければならない。このことが、本欄の命題である“トヨタ生産方式への移行後の経営課題”として、提唱していることである。 (次号に続く) |
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