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発行者 岩城生産システム研究所 編集者 IPSインターナショナル |
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平成20年8月1日発行 第071号 | ||||
― 目 次 ― | ||||
◆ 「自己管理を前提にした経営改革A」 岩城生産システム研究所 岩城宏一 |
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滑竢髏カ産システム研究所 岩城 宏一 | ||||
成果は、人々のより良い働きの結果として醸成される。従ってそのような素晴らし結果を必然化するためには、現在の中央による集中管理の組織や運営方法に代わる、新たな経営プロセスを構築しなければならない。 結論的には、現在の単年度の予算管理を重点にした経営を、事業育成型の経営に代えることである。事業育成型の経営の特徴は、経営管理の重点が従来の予算統制優先から、会社または事業の育成に変わることである。その結果、従来は予算の立て方、使い方が経営管理の対象であったが、後者では日々の業務を変へ、改善することが重要な管理の対象になる。 またその経営管理の期間は、単年度から5年単位または10年等の長中期に変わる。 具体的な改革は、従来の単年度単位の経営管理を、中期経営計画を基軸とした活動に変え、その計画の形成及び実行プロセスを整備することによって始動する。 すでに中期経営計画的な方針展開は、各社で何らかの形で試行されている。 しかし、形式的には類似しているが、その計画に取り込まれている内容と展開方法が全く異なり、実質的には全く別なものである。 即ち従来の計画は、人々を統率することに目的があり、可能な限り業務の詳細にわたり、また組織末端まで徹底しようとしている。しかし、目標実現型の経営では、本来自走力を持っている人々の行動を、方向づけることにその計画の目的がある。そのため、計画の内容は包括的(活動の骨子のみでシンプル)であり、管理監督者が自ら担当する統括業務を遂行するための、行動計画書であり、部下にやらせるものではない。 具体的には、その計画によって人々の業務をあらかじめ方向付けし、個々の業務の連携を進める。問題の発生時は、管理者自身が関係者を支援して解決し、一体となって進むことである。 この変化は、管理者に意識と行動上に大きな転換が求められる。即ち従来のように、管理者は自分の席に座って部下に指示命令するのではなく、直接現場に立ち、仕事の流れを整備し、経営の目指す方向に流の舵取りを行うことにある。当然、仕事の流れ化が出来ていない場合は、流れを造ること自体が、管理者の重要な仕事になる。 両者の違いは、実際の方針展開上において顕著に現れる。即ち従来の展開では衆知のように、その試みは殆ど組織に浸透することなく、形だけの維持または立ち消えになっている。 その理由は既に述べたように、人を集中管理し支配しようとすること自体が、現在社会への適応力を失っていることにある。即ち、従来の方針展開は、“皆が働こうとしないので、しっかり働かせるために、さらに管理を徹底する”ことを意図している。 ここで注目すべき点は、“管理”(すなわち舵取り者)と、“実行為”(働く人)が、各々独立した機能として識別されていないことである。すなわち、実務の進行度合いや出来栄は、管理者の管理の支配の中に従属していることを意味している。このことは管理者が、実務推進力即ち働く人々の全人格を支配することを指向している。 (次号に続く) |
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