発行者 岩城生産システム研究所

編集者 IPSインターナショナル
   平成20年4月1日発行 第063号
 ― 目 次 ― 


  
 「トヨタ生産方式の基本は三本柱が正しいC」 岩城生産システム研究所 岩城 宏一



 「トヨタ生産方式の基本は三本柱が正しいC」
滑竢髏カ産システム研究所 岩城 宏一



 生産の平準化が実現すると、各工程は設定された標準作業通りに、毎日後ろの工程の引き取り合わせて動くため、従来は生産の要であった生産管理部門による統制が必要なくなり、各工程は自律的に働くようになります。このことが所謂“自働化”であります。
 平準化は、自働化とジャストインタイムを実現するための重要な手段であると同時に、いろいろな無駄を取るための最も重要な前提条件でもあります。即ち生産時に発生するいろいろな問題や無駄は、前述のように、生産が変動することによって発生し、それらは経営収支に大きな影響をおよぼします。したがって、より効率の高い生産活動を追及することは、結局変動する市場に対して、如何にこれを平準して、工場内の稼動むらをなくすためにあるといえます。
 トヨタ生産方式の基本は何かとの問いに対しては、純粋に技術的な構成要素と、その形成に携わった人達の人物像とが重なっていることは否定できません。技術的にはこれまで述べたように、平準化があって初めて、ジャストインタイムと自働化が実際の生産現場で具体的になり、平準化は欠くことの出来ない重要な一本の柱であります。我々が、その生産現場がトヨタ生産方式に移行しているかの常用のチェックポイントは、言うまでもなくこの三点であります。
 一方、人物的には、ジャストインタイムと自働化のヒントを与え、大野先生を導き精神的に支えたのは、豊田佐吉翁であり豊田喜一郎元社長でしょう。
 これらのヒントを、トヨタ生産方式として具体化したのは、大野耐一先生であります。今なおトヨタ生産方式の思想の浸透さえ容易ではない中、50年以前に物つくりとは如何にあるべきかの本質を洞察し、トヨタ生産方式として具体的につくり上げたことは、驚嘆に値します。
 しかし、大野先生の立場からみると、トヨタの偉大な歴史的人物であるお二方に並び、ご自身をもう一本の柱として加えることは、当然躊躇されたと思います。以上のような理由で、トヨタ生産方式の基本は、ジャストインタイム、自働化、平準化の三本柱とみるのが正当でしょう。
 ついでながら、トヨタ生産方式の恩恵に浴している我々は、大野先生を助け、共にトヨタ生産方式の形成に尽力した、当時の人々の功績も忘れてはならないでしょう。


以上



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