発行者 岩城生産システム研究所

編集者 IPSインターナショナル
   平成19年11月1日発行 第054号
 ― 目 次 ― 

   「自ら考え、そして実行することの大切さ」 富士通メディアデバイスプロダクツ 村石 絹枝 様

  
 「コンサルタントのひとりごと 〜全員参加による経営活動の薦め33」 岩城生産システム研究所 岩城 宏一



 「自ら考え、そして実行することの大切さ」

富士通メディアデバイスプロダクツ株式会社 須坂事業所 生産部 村石 絹枝 様


 私は生産部に所属しSAWデバイス製品用の部材の手配・調達を担当しています。
岩城先生、松岡先生、そして常駐の清水先生にご指導頂き、3年目に突入した生産革新ですが、今でこそ言葉の意味が少しずつ分かってきたところで、最初は全く言葉の意味が理解できないところからのスタートでした。
先生方にご指導頂くまでは、生産革新を行っている関係会社の指導会に参加させて頂き、自分たちなりに見様見真似の革新を進めていました。
しかし、松岡先生に初めて部材倉庫を見て頂いた時、即座に、『だめ出し』され、それから今に至るまでは無我夢中でやってきたような気がします。
倉庫のレイアウト変更、スペースの削減、棚卸削減(回転在庫は1.5日分)、部材の取り込みは毎日(必要な物を必要な時に必要なだけ)、かんばんとルート便による定時取り入れと、盛り沢山の課題に毎日頭をひねりながら今日に至っています。
 先生方の指導がスタートしてから何回目かの指導会の時、松岡先生に「革新を始めてどうですか?」と聞かれ、とっさに「景色が変わりました。」と答えてしまったことを思い出します。
それまでの部材倉庫とは物量も景色も変わり、今では物を管理しなくても目で見て分かる『ストア』になってきました。
部材調達においては、小口化、定量化、かんばんを使った取り入れなど多くの課題があり、取引先と交渉を進める上でも購買部門の協力が必要不可欠でした。
最初は生産革新への取り組みに温度差があり、お互いが理解するために議論する日が続き中々前に進むことが出来なかったのですが、今では購買部門と連携を図り強力な体制で取引先との交渉に臨んでいます。
それでも私たちが思い描いているように取引先の協力を得ることは難しく、苦心しているところですが、出来ることを少しずつでも見つけて前進していこうと思っています。
 生産革新を始めたころは、「そんなの無理だ」「出来ない」と思うことが毎日で、取り組みに対しても後ろ向きだった自分が、今では生産革新の真意が少しずつ分かってきました。それは『出来ないことはいくらでもあげられる。でも、その中で出来ることを考え、そして実行することが大切』だという事です。

 これからも先生方のご指導を頂きながら、目標に向けて更なる前進を図っていきたいと思います。


以上



 「コンサルタントのひとりごと」
岩城生産システム研究所 岩城 宏一


全員参加による経営活動の薦め33



昔から“企業は人なり”と言われている。このことは、今も変わらない経営上の重要な関心事である。なぜならば、いかに自動化やIT化が進んでも、結局人が関与することなくして、物事は成立しない。会社が優れた成果をあげるには、当然それにふさわしい、人々の創造的な活動が必要である。
 その活動は、人が人間としての能力を、自由奔放に発揮できるようなものでありたい。そのため、仕事と人の関係は、“人が仕事のためにあるのではなく、人は仕事を糧にして、人間らしい活動を展開する”、に転換しなければならない。
 そしてそのような職場の人々は、その会社を支える一人でありたいと願い、
それに生き甲斐を感じ努力する。このような真剣な活動の継続は優れた人材を育み、当然の結果として優れた成果をもたらす。
 全員参加の経営は、上述のような環境下での人間の創造的活動を前提にしている。それに参加する人々は、“働かされる”から“自ら働く”プロであるという自覚から始まる。そしてそのプロとしての要件は、

1) 
会社全体の活動を理解し、その中でしっかりと自分の役割を自覚している
2) 自分の担当する役割を見事にこなせる、またはこなそうとチャレンジしている

に要約される。
 このような活動を展開しようとすると、当然会社の組織と運用は以下の要件を満たしている必要がある。

1) 皆なが参加できるような魅力的かつ具体的な目標が設定されていること
2) その目標を実現するための基本方策が掘り起こされ、みんなが共有していること
3) 共有した方策が日常の活動に定着していること。また定着しようとする活動が展開されていること
4) 皆の働きの結果がはっきりとわかるようになっていること
5) その結果がフィードバックされ活動が修正改善され進歩しつづけていること
6) またその結果及び活動の展開の必要性に応じて、昇進昇級、移動、考課等が納得的におこなわれていること

上記の1)〜5)項までは、既に述べたように、全員参加を前提とした経営計画の展開によって、社内に浸透してくる。
 人事労務部門の業務は、この新たな経営の展開の中で浮き彫りにされた各業務を、確実にこなすために必要な人材の、育成と確保が最大の任務になる。 そのための手段として、新規採用、昇進、昇給、人事考課、移動、教育等日行うことになる。
 このように、はっきりとした目標を目指し、会社として一丸となって行動をはじめる時、それに必要な業務、またそれを担当する人材も明確になる。さらにお互いに密接に連携しながら仕事を進める中で、各自の寄与度は、自から顕在化してくる。
 これ等のことは、今日までの最大勘案事項であった、人事労務上の昇進、昇給、人事考課等の、諸施策の根拠の曖昧さを明確にするものであって、今後の人事労務上の諸施策を展開する上で、重要な根拠を与えることになっている。


以上


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