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発行者 岩城生産システム研究所 編集者 IPSインターナショナル |
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平成19年09月01日発行 第049号 | |||
― 目 次 ― | |||
◆ 「企業の勝ち残りを懸けての取組み」 新庄富士通ゼネラル 松崎 学 様 ◆ 「コンサルタントのひとりごと 〜全員参加による経営活動の薦め29」 岩城生産システム研究所 岩城 宏一 |
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株式会社新庄富士通ゼネラル 松崎 学 様 |
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私は製造部門に所属し、改善推進グループとしてTP推進を主な業務としております。 先ず当社の概要について説明します。 地理的には山形県の北部に位置し、霊峰月山を始めとした雄大な山々に囲まれ、豊かな最上川、大正ロマンの銀山温泉を始めとした多様な温泉と日本一の巨木が多い、東北有数の自然に恵まれたのどかな新庄市にあり、主な製品としては、プラズマビジョン・温水ルームヒーター・その他各種PT板ユニットを製造しております。 |
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当社は平成13年度までに、少品種大量生産の体制を続けてきましたが、「国際競争力のある製造体制の構築」として、平成14年度から、多品種少量生産に対応した多能工化による「セル生産」と、機種・所要変動に迅速に対応する効率的な生産システムとして「FPS」の構築による生産革新を推進してきました。 組立工程の動力による搬送コンベアを解体し、ユニット式の動力無しの作業台に作り変えて、手渡し式の生産方式としました。さらに工場全体の工程再配置と構内物流の見直しを実施し、工程の集約による一貫生産と運搬作業の短縮を図りました。 そして、更なる「経営体質・国際競争力の強化」を図るために「トヨタ」生産方式を導入し、水野先生による事前のコンサルティングを受けて、岩城先生の第1回目の指導会を平成15年10月に受けることが出来ました。 |
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以来、今日で4年目になりますが、ムダの排除と助け合いの推進により生産効率が約2倍、工程の再配置と間じめにより生産スペースが1/3程度になりました。工程の空いたスペースに部品ストアを集約したことで水すましのルート短縮を含め、大幅に物流改善を図ることが出来ました。 プラズマビジョンは37型〜65型まで生産しており、従来は42型のラインと50型〜65型の2ラインで生産していましたが、生産設備を改善し2ラインを1ラインに統合したことにより、混流生産が可能となり、人員の削減(20%)と作業スペースの削減(30%)が出来ました。 PT板組立ラインはPT板ユニットをデップ槽の上を経由して戻す折り返しラインを構築し、挿し工程と修正工程を隣接して応授援化を図り、作業効率の改善(20%)と、幅合わせ治具の回転数量制限による1個流し・混流生産の仕組みを作り、少ロット・多品種生産に移行しました。 従業員の意識も徐々にではありますが、従来の命令伝達式から自ら考え、自ら改善し、働く意欲とモチベーションの向上へと変わってきていると思います。 生産設備・治工具のハード面についてはある程度順調に改善が進んでいますが、ジャストインタイム・平準化・部品のかんばん購入といった「トヨタ生産方式」の肝心要であるソフト面が思うように進んでいません。義務教育を卒業する必須条件の課題として強力に進めていくつもりです。 当社の今日の生産量からすれば、「トヨタ生産方式」の取組みがなかったら企業の存続はありえなかったと思いますし、確かな手ごたえと、今日の自信にもなっています。「生き残りとさらに勝ち残り」を懸けて推進して行きます。 以上 |
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岩城生産システム研究所 岩城 宏一 | |||
― 全員参加による経営活動の薦め29― 品質部門の改革 日々の生産活動の中では、品質はデリバリーと並ぶ重要な管理項目である。これを問題なく正常にこなすために、生産現場や品質に関係する多くの人々が、非常に多くのエネルギーを費やしている。 このような努力にも係わらず、品質問題の発生は、工場内や市場で後を絶つことなく慢性的に発生し、企業業績の浮上を阻害する大きな要因になっている。 最近話題になった、湯沸かし器のガス漏れ事故やリチューム電池の発火問題、食品管理等々の問題は、一企業内の問題に止まらず、大きな社会問題にさえなっている。 これ等の品質問題の発生は、社会が必要とする品質水準に、現在の企業の品質保証能力が、追従出来ていないことに起因している。そのことは、今日まで踏襲してきた、伝統的な品質保証の在り方そのものが問われており、その根本的な見直しと転換が必要になっている。 長年にわたり、定着している品質保証のための基本構造を改革することは、当然品質保証に関する、実際の業務を大きく変えることになる。トヨタ生産方式において指向する“検査”による品質保証から、“工程で造りこむ”ことへの移行は、この構造改革のための、もっとも現実的な選択肢の一つであろう。 これまでの“検査”による品質保証の限界は、コスト及び品質の二つの側面から制約を受ける。すなわち、現在社会が求める品質水準(例えば、不良率数PPM)を保証しようとするとき、一段と検査を強化することになり、そのことは検査に要する直接の経費の発生のみならず、必然的に製品歩留まりの悪化をもたらす。 これらのコストは、その製品の市場価格を実現する上で大きな負担になる。そのため、実際の現場での品質保証のための作業は、限られた人員と時間の中で可能な範囲に留まり、結果的にコストが品質に優先しているのが実情である。 このようにコスト上で制約されたな品質の問題は、膨大な社内の保守費、または、社外への保証費として別な形での出費を余儀なくしている。これは言うまでもなく、企業にとっては重要な問題であり、その対応如何では、企業の存続を左右する緊急課題である。 “品質保証は検査ではなく、工程で造り込む”は、一般的に良く知られている言葉である。しかし、これを単なる言葉や知識として留めるのではなく、現在行っている品質保証の行動を、現実に転換することが必要ある。 これまで述べてきた、生産現場のトヨタ生産方式への移行や、新製品展開に関する一連の業務の標準化は、その転換を可能にする最も大きな前提条件である。なぜならば、このことは工程で品質を造りこむための前提条件となる、品質に影響に及す諸要素、即ち“4M”の変化を、限りなく小さくするための、重要な手段であるためである。 品質保証のための実際の手順は、多くの品質問題を誘発する重要な要素である、この“4M”のばらつき先ずを無くす。その上で、品質に関係する工程のの改善と管理のしくみをつくり、不良の発生や流出を未然に防ぐことになる。 (以下次号) |
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