発行者 岩城生産システム研究所

編集者 IPSインターナショナル
   平成19年08月01日発行 第046号
 ― 目 次 ― 

  
 「コンサルタントのひとりごと 〜全員参加による経営活動の薦め27」 岩城生産システム研究所 岩城 宏一




 「コンサルタントのひとりごと」
滑竢髏カ産システム研究所  岩城 宏一


全員参加による経営活動の薦め27



営業部門の改革

 企業が存続していく上で、営業部門の日常的な強化育成は、当然重要なテーマであり、そのことについての社内の議論は、何時の時代でもつきない。この強化育成については、いろいろな側面からのアプローチが考えられるが、ここでは、“全員参加による経営活動”を前提に、この活動に参加するために、現状の営業部門の問題点と改革について、考えて見たいと思う。
 ごく一般的な営業部門の活動傾向は、伝統的な“売り子”としての働きを踏襲し、その枠内に留まっている場合が多い。もちろん、仕入れた物を売る、または与えられた物を売るということは、“全員参加”による経営活動の場においても、重要な仕事であることには違いない。しかし製造業における、経営参加の為の営業活動は、中期経営計画を基軸にして、よりはっきりした役割を担うことになる。
 その具体的な役割は、中期計画での“入りを図る”の区分の中での目標の達成のための、方策の掘り起こしと実行を分担する。例えば担当製品の将来や市場の動向を調査し、その結果を戦略的な中期商品企画、販売網整備計画、販売計画を立案して、会社の中期経営計画の検討の俎上に乗せ、会社の経営計画として成案を計る。その経営計画を軸に自部署の仕事の仕方を改善して、各関係部署と連携して業務を遂行する。
 全員参加の経営活動では、中期経営計画、年度計画の方針展開のPDCAの各管理サイクル及び新製品展開フーが、他の関係部署との連携の重要な場として、設定されている。特に新製品展開の中で営業部門が担当する“商品企画”は、経営計画の実行のための具体的な活動で、新製品開発の端緒を開く重要な第一工程でもある。さらに市場の販売状況を判断し、その商品の終息を提案しそれを主導する。
 以上は営業部門が経営参加のため、他の部署と連携し直接担当する役割であるが、従来の販売活動自体、営業部署のみならず会社全体の活動が後ろ盾となり、それによて支えられている。 例えばその商品または会社の持つブランド力などは、その典型的な例であろう。特に一過性ではなく継続的な売買の場合、その比重は大きく、直接販売員の労力を大きく軽減する。
 このブランド力は、言うまでもなく、生産者に対する消費者の信頼にかかわる問題であり、企業活動のいろいろな活動を通じて市場に定着していく。特にその商品の高い品質、妥当な価格また納期、さらにはその会社の顧客又は社会への的確な応対等、その継続的な維持は、顧客との間の信頼を深める上で、大切な要素であろう。
 また、このような、長年に亘り培われた販売環境の他に、日々の直接的な営業活動のあり方も、その成否を左右する重要な要素である。例えば顧客に対する製品開発部門の迅速で的確な応対、さらには工場の確実な納期遵守や品質に関係する迅速かつ的確な応対などは、営業部門を大きく支える。またそのことは、それ自体が実質的に重要な営業活動でもある。
 しかし実情は、このような意識のもとに、会社あげて行動している例は稀であり、殆ど営業、開発、生産部門間の各活動は分断孤立している。開発部門は勝手に新製品を開発し、その販売を営業部門に強要し、さらに生産部門とは日々の納期のことで、険悪な関係さえ醸成されている。
 このような状況は、営業部門のみならず、会社全体としての営業活動への理解と取り組みにかかわる問題であり、それを改なければならない。中期経営計画を軸にした経営参加のための枠組みは、そのための有効な改善策であり、関係する開発、生産部などの門が営業と一体になった顧客への対応を可能にし、営業活動を一段とダイナミックなものにする。またこのことは、営業活動を活性化するばかりでなく、これに連携した開発、生産の各業務も円滑にすることになる。(以下次号、7,31)


(以下次号)



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