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発行者 岩城生産システム研究所 編集者 IPSインターナショナル |
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平成19年07月15日発行 第046号 | |||
― 目 次 ― | |||
◆ 「後引き生産へのこだわり」 しなの富士通 久保田 二男 様 ◆ 「コンサルタントのひとりごと 〜全員参加による経営活動の薦め26」 岩城生産システム研究所 岩城 宏一 |
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鰍オなの富士通 第一製造部 第二製作課 プレス工場 久保田 二男 様 |
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“私の職場” (株)しなの富士通で電子部品用プレス加工を担当しております。 “トヨタ生産方式との出会い” 私の職場は、トヨタ生産方式が会社として取り入れられてから だいぶ遅れて活動を始めました。 理由は、細かく生産するよりも一気に生産した方が生産数も上がり、稼動率も良いと考えていたからです。 そんな工場に岩城先生は、『工場の機械を全部止めなさい』と激を飛ばされた指導会がありました。 その頃からです、本格的に皆がトヨタ生産方式に関心を持ち始め、改善活動に取り組み始めたのは・・・。 |
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“改善を実施していく中で” 改善活動も始めは何をしていいのかまったく分からないままでのスタートで、岩城先生・松岡先生の言われる通りに改善を行っていく事が精一杯でした。 しかし、改善を進めていくうちに現場の方から改善案が飛び出すようになり、それを松岡先生をはじめ上司に相談し実行に移すと言う活動の形に変り、改善活動が自分達で回ってくるようになりました。 そして今、工場が変わりつつあります。 私達の職場で一番変化したことは、工程マンが要らなくなったことです。 プレス工場は以前、生産課のシステム指示(生産計画)を工程マンが各機械に生産指示を出すという生産方法を取っていました。 それが現在では、トヨタ生産方式を活用した組み立て工場との連携による後引き生産になった為、“かんばん” が人や設備を動かす工場に変りました。 |
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“改善を通して学んだこと” 改善活動を続けていく中で職場の変化を大きく感じている事は、工場内(機械周り)にストアを設置し自分達が作った製品が目の前で引かれていくことで、“補充する仕組み”が構築し始めたこと、誰にも指示されなくても作業者が自分から動ける“自働化”が進んで来たこと、一人一人が改善活動の意味を理解しそれを伝えられる“人の教育”が大切だと分かったことです。 “今後の目標” 問題点はまだまだ山のように(受注の変動、ストア補充までの手番短縮、段取り替えの時間短縮と回数UP、等々)ありますが、 以前とは違い自分達が何をしなければいけないかが見えていますので、今後も日々改善活動に取り組んで『トヨタ生産方式のプレス加工のモデル工場』と言われるような職場にしたいと思っています。 以上 |
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滑竢髏カ産システム研究所 岩城 宏一 | |||
― 全員参加による経営活動の薦め26― 試験標準 前項の設計標準に比較し、この試験標準は殆ど未整備のままになっている場合が多い。それに類するものがあっても、せいぜい試験担当部署のメモ程度のもので、後述の会社の重要な技術資産としての管理には程遠い状態である。 また、試作品の試験評価のための保有設備も散発的で、抜けのない体系的な試験評価に必要な設備も整備されていない場合が多い。このことは結局試作品の試験評価が、その製品の開発担当者と試験担当者間の思惑の範囲内で行われ、会社として設計の良し悪しを、正確に試験評価する体制が出来ていないことを意味している。 そのため、この不備を補い新製品の問題点を検出するために、何百台もの試作サンプルを作成し、多くの時間と手間をかけ試験を行っている。特に最近のように、複雑なソフトが組み込まれている製品においては、益々その傾向が強くなっている。 新製品開発時の大きな問題は、膨大な開発費の発生と絶えない品質問題である。その開発費用の中でも、仮型などによる試作サンプルの作成費や試験費用は非常に大きく、一般的な電気製品では、全体の開発費の30%以上をしめることも珍しくない。 また新製品の市場での品質問題は日常的に発生し、その処理のために費やされる経費は、無視出来ないほど大きく、会社全体の収益に大きな影響を及ぼしている。 現在では、新製品はこのような問題の発生は、やむ得ないとしている傾向さえ見られる。しかし、これらの問題の多くは、設計の評価の詰めの甘さに起因し、設計図の完成度を上げることによって当然予防することが出来る。 要は如何にして設計の完成度を上げていくかが大切であり、その問題については、これまでに述べてきた技術管理標準及び設計標準と連動した、試験標準の整備が、この問題を解決する上での重要な手段である。以下にその要点を述べる。 先ず通常は、製品の特性のバラツキや潜在的な問題点の把握は、設計試作段階で事前に把握出来ないものとして、多数の評価サンプルを試作し、それらの問題点の検出を行っている。 しかし、例えば自動車や飛行機では、開発時の試作機の数量は、ほんの数台で賄われている。なぜならば、これらの分野における試作品の評価は、前述のように、設計上のバラツキや潜在的不備を検出することが目的ではなく、その製品の設計が、設定された試験標準に対して適合しているかを評価することを目的にしているためである。 このことは、当然一般の製品についても適応できる。 車両や航空機の新規開発の設計図や生産工程は、市場品質等の総ての分野で蓄積された過去の技術の上に成立している。そのことは、結果的に製品の出来栄えのバラツキを無くす。従って新製品開発時の注力点は、その設計や工程に取り込んだ新規技術や、変更点に絞り込むことが出来る。それによって設計図の完成度を上げ、さらにそれに要する経費を大幅に改善することができる。 新製品展開フローを、商品企画会議、製品企画会議、設計評価会議、量産移行会議、総括会議、打ち止め会議の6つの会議体を軸に、それに関する諸作業を標準化する。さらに設計標準を整備し、技術の改廃蓄積を可能にする。またトヨタ生産方式に改めることによって、生産工程の標準作業化を進める。 このように製品の開発から生産打ち止めに至る、一連のライフ期間を通して仕事の展開を標準化し、維持繰り返すことにより、新製品の出来栄え、即ち品質原価等に関する要因が管理され、そのばらつきは狭められることになる。 その結果新製品展開時の業務は、現在の状態をそのまま踏襲する部分と、新規追加または変更部分とを、はっきり区分することが出来る。そのため新規追加または変更部分のみを管理の対象として、整備された試験標準に基づき、試験評価することにより、いろいろなリスクを事前に防ぐことが出来る。 このように、新製品展開時に発生する多くの業務をやりくりして、新製品を展開するのではなく、その製品の新規点、変更点のみを重点的に管理することによって対応することは、その効率化のみならず、設計図の完成度をあげ、品質問題の発生を未然に防止する上で重要である。 またこのことは、多くの試作品でバラツキや潜在的な問題の検出をすることに換わり、その要因系である開発生産販売に関する全ての業務の精度を向上し、バラツキをなくして標準作業として確立することによって、製品のバラツキや潜在する問題に対する不安を解消する。それによって始めて、試作品の評価試験を、その設計のバラツキを検出することから、試験標準に対しての適合性の評価に変えることが出来る。それによる経営的な効果は非常に大きい。 以上のように、新製品開発を新規点、変更点の管理のみで対応可能にすることが、製品開発業務を改革する上で、目標とする大切なゴールである。またそこに到達するために着手しなければならない具体的な活動は、前述のようにこれに参加する、広範囲に亘る全ての業務を改善し、バラツキのない標準作業として整備することに他ならない。 (以下次号) |
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