発行者 岩城生産システム研究所

編集者 IPSインターナショナル
   平成19年06月15日発行 第044号
 ― 目 次 ― 

   「継続的に改善、進化する仕組み…TPS」 富士通メディアデバイスプロダクツ 寺下 勝正 様

  
 「コンサルタントのひとりごと 〜全員参加による経営活動の薦め24」 岩城生産システム研究所 岩城 宏一




 事務所移転のお知らせ

 日頃は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。
さて、弊社では、6月11日より事務所を下記に移転致しました。
これを機に社員一同一層の努力を致していく所存でございますので、なにとぞご支援を賜りますようお願い申しあげます。


                                   記

                      〒355-0051 埼玉県東松山市白山台16番地1


※電話/FAX番号については変更ございません。

以上




 「継続的に改善、進化する仕組み…TPS」

富士通メディアデバイスプロダクツ株式会社 第二製造部 寺下 勝正 様


 私はモジュールおよびジャイロセンサー等の製造部門を担当しております。
 2004年3月から岩城生産システム研究所の先生方の指導を受けており、今年は3年目で先生からは第二ステップの”強い流れをつくる”段階と言われております。
 第一回目の岩城先生の指導会では、ジャイロセンサー工程に入ると先生は全体を見渡して、「人は半分でできるな!」「スペースもこのへん(約2/3)で十分だな!」と言われ、強い衝撃を受けました。
 我々も自主勉強会などでTPSを学び、ラインの縦流しや間締め、ムダとりを実践してきましたので、正直「まだ、そんなに改善できるの?」と思いました。
指導内容についても一言で表せば「ここまで徹底してやるの?」という感じで、我々の「このくらいでいいだろう」という考えに対して”全く妥協しない、徹底してやる”という姿勢には驚きました。

 自分のTPSに対する考えや取り組みの甘さを痛感、とても良い刺激となりました。
 指導開始当初は2Sを中心にスタートしましたが、整理(不要物の撤去)にあたっては、不要な物の定義の明確化と赤札作戦などによって膨大な量の棚・机・台車等がラインの外に出されました。
 その結果、ライン全体の1割以上の活スペースが生まれ、改めて私達はムダなものをたくさん溜め込んでいたことを実感しました。 以前から2S,2Sと言っては、それなりにやってきましたが、これが本当の2Sだと体験した瞬間でもあります。
 ジャイロセンサーラインのここ2年間の取り組みですが、”人とモノの動線を最短に”ということで、@間締めを主体に A作業効率改善 B多能工化 Cみずすまし運行 D段替え短縮 など取り組んできました。 間締めのA.Iとして作業机の立体的活用によるコンパクト化、乾燥炉の小型化と作業机とのドッキング゛、バッチ処理設備の小型化などを強力に推進、もちろん作業動作/効率改善を含めての対応です。
 これらの改善に伴い活(空き)スペースができ、その都度レイアウト変更が必要となり、この2年間で10回以上レイアウト変更を実施しました。
レイアウト変更は関係部門の協力があって実現できており、レイアウト変更前事前協議や準備など部署間の連携が強くなったことも大きな成果であります。
 改善指標の付加価値生産性はこの2年間で約2倍にアップし、更に今年度に入って物量増もあって記録更新中であります。 元々、目先の指標改善を意識せず、目指す姿、やるべき改善アイテムをスケジュール化し改善を積み重ねていくという進め方をしていましたが、その効果が確実に現れてきております。
 今年度は”平準化生産”をメインテーマとして取り組んでおり、A.Iとして後引き仕組みの見直し、段替え短縮、多能工化などに注力しているところで、とにかくスピード上げて取り組むよう心がけています。

 最後に、TPSは改善が繰り返し繰り返し行われ進化する仕組みであると考えます。  また、進化すればするほど改善テーマの難易度が増してきますので、それを解決、実践できるスキルアップも並行して図っていきたいと思います。
今後とも、先生方のご指導よろしくお願いいたします。


以上





 「コンサルタントのひとりごと」
岩城生産システム研究所  岩城 宏一


全員参加による経営活動の薦め24

一般的に、皆が仕事をきちんと行っていくためには、何を何時までどのような水準まで仕上げなければならないかが、はっきり判っていることが第一の条件になる。仕事は多くの場合、多数の人々の参加もとに行っている。そのため皆が組織的に効率よく連携しようとするとき、必然的に個々の仕事に対する条件がはっきりと見えてくる。
 この点については、前述の新製品開発に関する業務の展開フレーム(展開順序)を活用することによって、この問題は解決される。残る問題は常に仕事の現場で問題にされる、如何にして期日通りに仕事を完了するかが課題になる。
 この解決のための最も効果的な手段は、普通は新製品展開時、そのつど異なる対応をしているものを、前述の新製品開発展開のフレームを用いて、仕事の流れを標準化することである。
 この標準化は、前述のように個々の仕事の条件を明確にするばかりではなく、仕事そのもの実行を支援する。即ち、新製品開発が行われるつど設定される仕事の日程のパターンと、関係者との審議内容の大枠が繰り返えされることにより、過去の経験の蓄積を容易にし、それらを効率よく生かすことが出来る。
 仕事をこなす場合、全てを始めから終わりまで手を付けるのではなく、必要に応じて過去の仕事の成果を、修正、変更、追加することで、期日どおりに仕事を終了することが可能になる。過去の経験を効率よく生かすことは、当然個人の段階では多少にかかわらず行われている。しかし、より確実にまた広範囲にわたり会社組織として、このような方法で、仕事が処理されることが重要である。
 そのためには、会社内の日常の仕事が関係部署と連携し、また混乱することなく、常に平静に行われるように仕事の仕方が整備されていることが、不可欠な条件になる。 この不整備は、多くの会社において仕事が予定通り進まない最大の原因でもある。
 このように、仕事の整備の進行は、結果的に仕事の標準化を推進する。仕事の標準化に伴い、これを継続し維持するために、主要な項目については必然的に記録し標準書として管理することになる。新たな仕事への対応は、これを土台として、必要に応じその一部を修正や追加することをよって追従する。このような仕事の仕方は、従来の方法に比較し飛躍的に効率は向上しまたより正確なものになる。
 多くの人々が仕事の標準化については、これまでに何らかの試みをしてきていると。例えば、現在よく見かけるISO9000等もその一例である。しかし、実情は期待通りの成果をあげることなく、立ち消えになっている場合が多い。その最大の原因は、前述のように、全社の実際の仕事の仕方を整備し標準化することを後回しにして、書類のみの標準化の段階で終わっていることにある。実際の仕事の仕方の整備と標準化は、非常に長期間に亘る地道な努力の積み重ねが必要であるが、組織の効率化のためには避けて通れない最も重要なテーマである。
 新製品開発に関する主要な標準化は、技術標準として、「技術管理標準」「設計標準」「試験標準」の三通りが必要であろう。以下に各々の標準書の内容の概略を説明する。
 先ず「技術管理標準」は、新製品開発時及び通常の技術部門の業務に関する全ての管理事項を包含する。例えば、前述の新製品展開フロー、図面、他の標準類、各種規定、要領書等の改廃管理。大切なことはこれらの改廃は適宜実施し、しかもその改廃は個人ベースではなく、標準化委員会等の機関を設けて、会社組織として行わなければならない。このような委員会が実質的に会社業務に定着し機能するためには、前述のように会社全体の実際の業務の標準化が進んでいることが大切な条件である。


(以下次号)



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