発行者 岩城生産システム研究所

編集者 IPSインターナショナル
   平成19年05月15日発行 第042号
 ― 目 次 ― 

   「ものづくり 私の挑戦 −頂点を目指し常に進化を続ける現場を!−」 富士通フロンテック 棚辺 美和 様

  
 「コンサルタントのひとりごと 〜全員参加による経営活動の薦め22」 岩城生産システム研究所 岩城 宏一




 「ものづくり 私の挑戦 
           −頂点を目指し常に進化を続ける現場を!−

富士通フロンテック梶@第一製造部 第二製造課 棚辺 美和 様


ものづくり革新活動を始めてから早3年、今も私の挑戦は続いています。そして日々現場は進化しています。
 指導会で「ものづくり活動は物の流れであり、製品は必要な時に必要なだけ作る、『ジャストイン タイム』が基本だ」と学びました。この事を頂点とした時、そこに登るにはさまざまな道がありますが、全員が同じ所を通るとは限りません。ただ、みんな目指すところは一つなのです。指導会のあったこの日から私の挑戦が始まりました。

 まず一番始めに整理整頓から始めました。当初、工場内は「いつか使用する」「捨てるのがもったいない」「数ヵ月後に使用する」など、いつそれが必要なのかも知れないのに、全て身の周りに置いていました。部品、仕掛品も山のようにありました。TPSではこれらが悪なのですが私達はこれが異常とは気づきませんでした。私は清水の舞台から飛び降りたつもりで「私が責任を取るから今使わないものは捨てて!」と声を大にして言いました。まず捨てることを第一優先に指導したのです。


 そうすると見る見る、不要な山が消えて行きました。いまでは少しおかしく感じる事があればそれが異常であると、誰が見てもわかる状態となりました。整理整頓は全ての原点につながると身を持って体験しました。

 二番目の挑戦はライン改善です。これには四苦八苦しました。ライン改善よりも作業者の意識改善の方が先でした。今まではまとめ作りをしていたので、物の流れをつくると言う概念がありませんでした。ライン構築と言われてもメンバーの皆からは「できない」「できるわけがない」との声が、日常茶飯事繰り返されていました。これは私自身も感じていたのですが「やってみてから考えようよ!」と皆を一人一人説得しながら、一つずつ皆の意識の壁を乗り越え、今のコロコンラインを完成させました。
 このラインの特徴は応受援をしながら1個作りができる一直線のラインです。一番時間を費やし苦労したかいがあって今では仕掛かりを持つことなく、付帯時間もなく製品がスムーズに流れています。

 かんばんも取り入れました。使った分を補充していくスタイルです。部品供給・工程内・外注納入品かんばんをあらゆるところで使用しました。かんばんが回るまで数多くの試行錯誤を繰り返し大変な思いをしましたが、仕組みさえ作ってしまえばすぐに運用できました。これは優れものです。
 今までに色々な事を学び、実践しましたが改善活動は今後も終わり無く、私の挑戦は続くでしょう。乗り越えなければいけない壁はたくさんありますが、乗り越えたときの達成感は一潮です。日々1つでいい、何かが変わるそんな職場でありたいと、常に進化し続ける現場を目指して、今後もみんなで協力し、明るく頑張って行きたいと思います。

以上





 「コンサルタントのひとりごと」
滑竢髏カ産システム研究所  岩城 宏一


全員参加による経営活動の薦め22



 従って新製品開発は、その当初からこのような視点で、展開しなければならない。そのため、その展開にあたっては開発部署ばかりではなく、そのライフ期間を通じて関与する全部署の参加が必要である。
 このことを実際に行うためには、新製品の発案から始まる新製品展開の流れを分かりやすく、また全部署が参加できるように整備しなければならない。
その整備の要点は、新製品開発の作業がその進行の順序に自然に配列されていること。さらにその進行に従い作業内容が変るごとに、その作業を担当する部署に引き継がれていくこと。
 例えば営業部門によって“商品企画”がされる。それに基づき、製品企画部によって“製品企画”行われ、開発部門にて設計開発、生産部門で“生産準備”“生産”、補修部門で“アフターサービス”最後の終息は、営業部門の提案で“打ち止め”承認される。
 このような一連の流れが出来て初めて、全社を挙げて新製品開発に参加できる。
またこれをスムースに展開するためには、以下の条件が業務の中で定着していることが大切である。

1)営業部門は通常の販売活動の他に、市場のニーズを掘り起し、次に市場に送る為の商品を提案する責任を持つ

2)製品企画部門はそれを製品化するための品質特性・原価等の具体的な内容を詰め、製品企画として提案し、その企画値を実現するために全体の管理と調整を行う

3)製品企画書に提示された品質・原価については、設計品質原価については設計部門が、製造品質原価につては生産部門が、部品については購買部門の責任で展開される

4)全体の日程上の進行管理は、生産管理部門があたる

 これらのことは、正常に仕事を進める上では極く当然のことであるが、現状はこのように部署ごとに仕事の分担がはっきりしているのは稀である。
開発部門が殆ど自部署で行い、量産の間近かになって工場に持ち込み、大騒ぎになっている。
 以上のような新製品の展開方法を、会社として定着しておけば、開発部門の負担は大きく軽減されるばかりでなく、いろいろなトラブルも、殆ど無くすことができる。


(以下次号)



■無断複製・転用・販売を禁止します■
Copyright©Iwaki Production Systems Research Ltd. 2005-