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発行者 岩城生産システム研究所 編集者 IPSインターナショナル |
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平成19年05月1日発行 第041号 | |||
― 目 次 ― | |||
◆ 「トヨタ生産方式を実践して」 FDK 丹野 慎司 様 ◆ 「コンサルタントのひとりごと 〜全員参加による経営活動の薦め21」 岩城生産システム研究所 岩城 宏一 |
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FDK梶@モジュールシステム事業部 製造部第一製造課 丹野 慎司 様 | |||
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![]() 改善の経過・成果を岩城先生にご説明(2007年1月11日) |
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取り組みをはじめる前は、棚がいたる所に置かれ(置き)、現場内では通路と作業エリアが混同し(混同させ)、廊下にはダンボール箱の山(自分たちで山積みにしていた)・・・と、まさに物置小屋状態だったのです。指導会を重ねるにつれ、「一直線になるようにレイアウト変更してください」「ここの離れ小島をなくしてください」「ここはレイアウト変更して助け合いをしてください」「人が多いねぇ。今の半分にしたい!」等々、更に多くの指摘をいただき、何度も何度も高い壁にぶち当たりながら改善に取り組んできました。 「現場からムダなものを取り除き、必要なものが必要なときに流れるように現場を改善すること」、「もっともっと人を活かすこと、人を活かすことによって、自然にムダがなくなる」ということを繰り返し・繰り返しご指導をいただき、少しずつ活動を積み重ねるうちに現場のムダが自然に見えるようになってきます。 恐るべし!トヨタ生産方式ということですが、同時に見えるムダは改善し取り除くことができるということを感じたのも、トヨタ生産方式に出会った初めのころの思いです。 2.社会の役に立つ 私がこれまで指導を受けた中で特に心に残っていることは、当たり前のことではあると思いますが、先生の著書にある「この仕事を通じて社会の役に立つ。それは単なる一企業の社会貢献にとどまらず、企業が繁栄するためには、その企業が存在する社会が豊かであることが不可欠である。」と記されている内容です。 赤字経営では豊かにはなり得ないし、まず会社が安泰であり存続することが必須であります。では、会社存続のために何をすべきか?・・・その応えは、やはり“トヨタ生産方式による生産革新活動”に取り組むということであります。 このことは、これまでの改善への取り組みで生産性・品質・仕掛り金額・フロア面積等の各項目に顕著に表れている成果が証明しています。この間の改善活動によって生み出された付加価値は、これまでの他の改善活動に類を見ません。「トヨタ生産方式はすごい!」これがトヨタ生産方式と出会って、取り組みを重ねる内に感じた思いです。 また、先生方はこの大切なノウハウを惜しげもなく公開していらっしゃる。一企業のみならずこの日本国をより豊かな国にしようとする熱き思いが伝わってきます。そのことも非常に感動的です。 3.改善意欲の変化 ひとつの成果が表れた時の達成感。 これは、直接改善活動に携わった人であれば誰もが感じるであろうことです。苦労して成し遂げればこそ感じる思いです。 また、「誰の職場でもない、自分の職場は自分で良くする」ということ、改善への取組み姿勢が変化していることにも気づきます。いつの間にか自然にカラダが動くようになっています。 トヨタ生産方式を学び、改善に取り組んできたこの3年間で、改善に対する意欲・姿勢は以前とは比べものにならないくらい変わっています。 4.私の財産 これまで3年間にご指導いただき学んだことは数多く、どれも私の貴重な財産になっています。 先生から指摘される数々の難題!?に対し、従来なら感じていただろう「絶対無理だ、やれない」という気持ちから、「無理はないんだ、だからとにかくやってみよう」というように私自身の姿勢も前述の通り変化しています。ひとえに先生方が、私たちに厳しく、そして温かく、親身になってご指導くださる姿勢によるものだと思います。(先生方は、私たちをその気にさせる強いパワーを持っていらっしゃると思います。) さらに今では、作業者からもどんどん提案が出され、うれしい信頼関係も築くことができました。 私は、この取り組みを切らすことなく継続すれば、会社経営が間違いなく改善すると確信しています。 5.最後に ご指導をいただいてまだ3年余。 人に例えれば、まだまだ「はな垂れ小僧」です。 単に改善ゴッコにならぬよう、トヨタ生産方式の基本である「4つの仕掛け」「4つの約束」「数々の原理原則」等々を忠実に実践し、日々改善に努めます。 今後ともご指導をよろしくお願い申し上げます。 以上 |
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滑竢髏カ産システム研究所 岩城 宏一 | |||
― 全員参加による経営活動の薦め21― 先に述べたように、現在ではその価格面での競争力が、新製品が成功するための、より一層大切な要素になってきている。そのような視点で見る時、現状の新製品開発の改善しなければならない重要な点として、製品企画が経営戦略的に行われていないこと。開発行為が開発部門にクローズして、全社的な参加で行われていないことの二点がある。 まず、新製品の役割は現状の製品領域の中で、旧品と入れ替え市場シェアー維持拡大や、全く新しい領域を開拓する等にあり、会社の維持拡大のための直接的な牽引力であり、経営上重要な影響力を持っている。 しかし、現状では何時どのような新製品を出すかの決定、即ち製品企画が、経営上の判断ではなく、開発部門の判断で決定されている場合が多い。このような新製品開発の仕方は、その企画が単発的に行われ、各企画の相乗効果を期待し、全体をマネジメントした上での企画ではないため、せっかくの新製品が経営的な十分な成果を出せないままに終りがちである。 戦場における一つの戦略のもとに、一の矢、二の矢、三の矢を放つように、その効果を見極めつつ、新製品をシリーズとして市場へ投入することが、より効果的であることは言うまでもない。 このように、経営戦略的にシリーズとして新製品企画を展開していくためには、“そのシリーズの狙いの明確化”のために、 経営が短期的な予算実現型の経営から脱皮し、長期的な育成型の経営転換し、その中で経営そのものが、明解な経営戦略を確立することであり、また実際の展開に当たっての広範囲な業務の連携等の経営環境の整備が必要である。新製品開発が経営戦略的に展開されていない現状は、経営自体に経営戦略がないことに原因があるだろう。 経営は現状を維持しつつも、さらにその成長を常に追及している。新製品開発は、そのための直接的な手段であり、それによって市場の支配力の維持と拡大を狙っている。そのねらいはいうまでも無く、これまで述べてきた中期経営計画を構成する“出を制す”と“入りを図る”の二本の柱の内の、後者の重要な行動指針である。 かつては、新製品企画は十分経営戦略的に行われていた。何故ならば市場が必要とする新製品、即ち新機能を持つ製品を長中期的に想定でき、それを具体化することによって、膨大な新たな市場を開拓することが出来た。半導体に端を発した今日の“ハイテク”産業などはその好例であろう。 しかし、既に述べたように現在では、他との差別化の手段であったこれまでの“より便利な機能”が一般化するに伴い、“より安価”であることが重要な差別化の要素になってきている。このことは経営のあり方を、従来のイノベーションカンパニー重視から、“出を制す”をもう一つの基軸とした、全組織に亘る効率的な経営活動の育成を目指す、全員参加型の経営への転換の必要性を示している。このことは、新製品開発は、開発部門主導から中期経営計画の範ちゅうで行うことへの転換の必要性を意味する。 経営戦略的な新製品企画は、中期経営計画で設定された目標を達成するために行われ、その企画にあたっては、今後の世間動向、製品、競合他社動向等十分な調査を行い、その結果は会社として決定する。またその実行に当たっては開発部門のみならず、販売、生産、購買、品質保証、アフターサービス、等関係部署全部署が参加のもとで新製品開発は展開されなければならない。 このことは、価格での競争力強化は、新製品が企画され打ち止めされるまでの、その製品のライフ期間を通じての、全部署で発生するコストを、如何に削減するかにかかっているためである。 (以下次号) |
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