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発行者 岩城生産システム研究所 編集者 IPSインターナショナル |
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平成19年04月1日発行 第039号 | |||
― 目 次 ― | |||
◆ 「“やればできる”を実感」 富士通 坂本 久美子 様 ◆ 「コンサルタントのひとりごと 〜全員参加による経営活動の薦め19」 岩城生産システム研究所 岩城 宏一 |
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富士通 電子デバイス事業本部 生産管理部 岩手生産部 坂本 久美子 様 | |||
私は、半導体工場の生産管理部門に所属しております。2004年4月から岩城先生、水野先生にご指導頂いておりますが、指導会初日の感想は「これから暗闇の中に咲く花を探してきてください」とでも言われた様な気分でした。 それから2年半以上が経過し試行錯誤の連続でしたが、ようやく暗闇にも慣れ(?)花のありかが見えて来たような気がしております。勘違いしているのかも知れませんが、後戻りもできず前へ進むしかありません。 振り返ってみますと、指導開始当時の部門間には途方もなく厚く高い壁がそびえ立ち、先生のおっしゃる事は判っても現実は組織の壁に阻まれなかなか前へ進めない状態が続いておりました。しかし、何度目かの水野先生の指導会でレイアウト変更が強行され、誰もが絶対に動かせないと思っていたウェーハ移し替え装置を移動させてしまい、不要となった作業台や職場を仕切る棚類を撤去してしまったのです。 |
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現場としては大事件だったのですが、このレイアウト変更で担当エリアの雰囲気が大きく変わり、作業者から「このレイアウトで作業するには運搬や供給してくれる人が欲しい」とか「資材要求はかんばんで」等の要求が上がり、作業エリアの「みずすまし」や「かんばん」が誕生しました。 この様に作業環境が変わると、やがて作業の応授援も行えるようになり、レイアウト変更と作業や仕組みの改善を重ね、現在では当時の2倍以上の処理ができる部隊に変貌しております。 その様な経過を経て最近では、「かんばん」での後工程連携とか、平準化生産計画の必要性とか、1ロットの構成枚数の少数化とかが理論上、実務上でも理解出来る様になってきました。ここにたどり着くまでには少々時間が掛かり過ぎたと感じておりますが、四方八方システムで管理されている環境の中で、頭をシステムから切り離し「かんばん」で動かせるように体制や環境を変えて行くことが生産革新なのだと思っております。 最近では、出荷対象品をシステム指示方式から「かんばん」で物を動かす方式に変更したところ、作業は至って単純になりシステムへの入力や指示待ち、ロット探しや、分割作業が一気に無くなりました。先生方の目から見ればちっぽけな事かもしれませんが、少しはまともな改善が出来たかなと勇気が沸いてきた感じがします。 日常のオペレーションの方法を改善するということは、即ち、仕事の仕組みや組織のあり方を見直すきっかけになります。今をベストと思わずに、この勢いで関係部門と連携して取組んでいきたいと思っております。 以上 |
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滑竢髏カ産システム研究所 岩城 宏一 | |||
― 全員参加による経営活動の薦め19― 昇進昇格と昇給賞与の違いが明確になってくると、人事考課の問題も、取り扱い方が非常にはっきりしてくる。先に述べように、昇給賞与は担当した職務の遂行度、即ちその職務を通じて上げ得た成果に対する報酬である。 全社で目標及び基本方策を共有し、それを基軸に皆が組織的に連携して、各自の仕事を判りやすくすることによって、評価を客観的に出来ることはすでに述べたとおりであるが、次の課題として、その評価に対しての配分方法を明確にしておく必要がある。その主な点を列挙すると、考課配分に充当する総原資をどのように決定するか。評価を幾つのランク分けるのか?各クランクに配分する金額の決定等重要な項目であろう。 それらは、各社の経営状況によって、一律には決められないが、大切なことは、配分方法を明らかにして、皆に周知徹底されていることが肝要である。即ち自分の業績の評価、及びそれにもとずく昇給や賞与結果を、自ら想定できるようになっていることである。 昇給はご存知のように、我国では一般的に定期昇給とベースの改定に区分して行われている。これは終身雇用を踏まえた上での給与の決定方法である。そのため、現行の昇給について考えるとき、当然その終身雇用制度そのもの適否について検討しておく必要があるだろう。 この問題については、広く社会的な関心事でありながら、はっきりした結論を得ないまま、しばし議論が繰り返されている。しかし、これまで述べてきたように、経営活動が組織的にさらに継続的に展開されてくると、個々の職務上の成果は、当然当事者の経験及び周りとの連携協調に大きく依存する。そのため、その会社での勤務年数は、業務の遂行能力を測る上で無視できない要素になる。 従って、比較的長期的な目標の実現を目指す育成型の経営においては、終身雇用制度は、経営の必要性に応えるものであり、それを前提とした人事考課制度は、十分説得性のある制度である。これを否定しなければならない理由はないだろう。 その時々の成果や能力のみに着目し、それに対する報酬を決定する所謂“能力主義”的制度は、短期的または投機的な業種などには適しているかもしれないが、育成的な経営活動においては、例外的にはともかくとして、恒久的な制度としては成立しないだろう。 また、終身雇用を日本型人事制度と見る傾向もあるが、これは妥当ではなく実際は、前述の通り育成型の経営活動において、はじめて必要とされる制度あると言える。我が国における経営活動は、このような育成型の経営が主流であり、それが土壌となり、終身雇用制度が多く定着していると思う。 しばしば見られるような、終身雇用制度を軽視し、能力主義を信仰する気配は、このような事情を無視したものであろう。 通常のわが国での定期昇給額は、年齢別にその額が決められており、それに充当する総原資も、その時の会社業績と直接的には影響を受けないしくみになっている。そのため、おおよその昇給金額は事前に予想ができ、合意されている場合が多い。 しかしベースアップや賞与は、会社のその時点での業績に、直接左右される。 そのため、これらに引き当る総原資の算出方法を、(例えば営業利益対比等で)明かにして置くと良いだろう。それによって、人々は、常に自分の働きに応じて、賞与や昇給額を常に予測できることになる。 以上に述べてきたように、全員参加による育成型経営活動においては、人事考課を、極めて客観的、納得的に実施することが出来る。適正な人事考課は、より効率的な組織活動と常に一対であり、組織の活性化上その影響力は極めて大きく、疎かにしてはならない。 (以下次号) |
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