発行者 岩城生産システム研究所

編集者 IPSインターナショナル
   平成19年02月15日発行 第036号
 ― 目 次 ―

 
 「コラム」 新潟富士ゼロックス製造 山田 佳子 様

 
 「コンサルタントのひとりごと 〜全員参加による経営活動の薦め16」 岩城生産システム研究所 岩城 宏一




  「コラム」
新潟富士ゼロックス製造株式会社 山田 佳子 様

 新潟富士ゼロックス製造鰍フ山田佳子と申します。今回このお話を、いただいたのが、新潟での自主研の懇親会の席でした。
 水野先生から「岩城先生のコラムにどうですか?」と言われ、初めは何を言われているのか理解できずにいたところ、上司より正式に依頼が来た時は、「え〜、私なんかが・・・・。」と思ったのが、素直な気持ちでした。
 さて、新潟での生産革新が始まったのが、2000年7月の事でした。
 岩城先生をはじめ、生産システムのメンバーがラインの中に入り、どんどん自分の作業エリアから部品を排除していく様子を見て、始めは「何なんだろう・・・・、この人達は!?」と思いました。
今までの自分達のやり方が変って行くわけです。始めは不平不満が山のように出ました。しかし、回を重ねるごとに、いつも先生にご指導いただいている「必要な物しか作業エリアに置かない」という意味が少し理解できると、作業者同士の連帯感が出てきました。
以前、私もライン作業者の1人としてご指導を受けている時は、部品の持ち方、電動ドライバーの受け渡し方等々、先生から、優しく教えていただき、「なるほど・・・」といつも、感心していました。そして色々な事がクリア出来ていくと、自分でも作業をしていくのが楽しくなったのを覚えております。
 今の私達が、ここまでなれたのは、先生からの、時には優しく、時には厳しい一言をいだき成長出来たのだと、実感しております。
 おかげ様で、まだまだ未熟ですが、今の私はグループ員に先頭に立ち、新人教育、改善活動が出来る様になりました。近頃では“欲”が出て色んな事にチャレンジをしたくなりました。準備も出来ていないのに先走っては、落ち込み、また「頑張れ」と気持ちを立て直している毎日です。
 
これからも先頭になってTPSを進め会社全体に影響を与える職場を目指して行きたいと思います。
 岩城先生、生産システム研究所の皆様、今後も厳しく、優しくご指導くださいます様お願い致します。         以上



                             
 





 「コンサルタントのひとりごと」
岩城生産システム研究所  岩城 宏一


全員参加による経営活動の薦め16

 経営改革の重要な柱として、判りやすい経営と実行出来る経営のあり方について、これまで述べてきましたが、最後に人々の業績を正しく評価できるような経営は、どのような条件の整備が必要かを取り上げたいと思います。
 人の業績を的確に評価することは、人々が働く上での重要な条件であります。そのため、組織を活性化するためには、人々の働きを正確に把握し、それに対して、的確にレスポンスする機能を、会社組織は当然備えていなければなりません。
 一般的に人事考課という形でその機能を補っていますが、実際の評価は極めて曖昧に処理されている場合が多く、何もしないわけにはいかないので、とにかく、実施出来る範囲で行っている、というのが実情であります。
 私自身、40年近い会社在籍中、仕事に向かって奮い立つような、納得出来る考課をしてもらった記憶は殆どありません。これは恐らく私ばかりではなく、同じような思いを抱いている人が、大勢いるのではないかと思います。
 このよう考課制度は有害無益であって、早々に改めなければなりせん。事実私の経験では、長年続いていたこの制度を改めた後は、私は毎期の年度末や中間期に行われる人事考課のつど、会社内に快い緊張感走り、お互いの信頼感の深まりを感じ、組織が確実に活性化されるのを実感出来るようになった。
 人事考課制度は、経営者や管理者に与えられた、組織を運用する上での重要な手段あります。従ってその適正な行使は、経営者や管理者の任務であり、それが、適正に機能しているかどうかは、予算の達成度ばかりではなく、その組織の活性化度合い、即ちその職場で皆が力いっぱい働けているか否かで一目で判断することが出来ます。
 この“全員参加による経営”のシリーズでの重要な問題意識の“人々が力いっぱい働けていない”ことの直接の原因は、その任ある経営者や管理者の業務が、有効に遂行されていないため、人事考課が適正に機能していないと言っても過言ではないでしょう。
 
経営者や管理者の多くは、毎日目先の事象の処理に終始し、これまで述べてきたような、本来の業務である会社業務を判りやすく、判ったことは実行できるような組織造りと、運用の方向に力が向かっていないのが実情です。
 適正な人事考課を可能にする条件は、経営者や管理者の個人的な能力や適正の問題より、会社全体の組織と運用のあり方にあり、その比重は格段に大きいように思います。このことは、現実の会社経営上大変重要なことであります。
 
組織やその運用方法は時間をかけながら、徐々に改善を重ね改め、良い組織機能を造り上げることは可能であります。しかし、もし適正な考課が、経営者や管理者の個人的な適性に依存するならば、会社組織を運用するためには、多くの有能人材の確保し、むらの無い評価を行うための教育訓練が必要になり、これは現実的には大変難しい問題になります。
 評価の問題は大変難しい問題としての認識が一般的であります。しかしその背景には、その問題の所在を、管理監督者の個人的な問題として感じとめ、前述のように、組織とその運用にあることの問題意識が、希薄であることを指摘できます。そのため、具体的な解決策を見出せないままになっているように思います。
 
従って、以下に人々の業績を正しく評価することを、経営者や管理者の個人的な問題ではなく、経営全体の組織と運用の問題として、それに対しどのような改革と、条件の整備が必要かを取り上げてみましょう。

(以下次号)


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