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発行者 岩城生産システム研究所
編集者 IPSインターナショナル |
平成19年02月01日発行 第035号 |
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お知らせ |
「岩城生産システム研究所NEWS」第35号を発行させていただきます。
今回は富士通インテグレーテッドマイクロテクノロジ・八丸様及び、弊社・岩城 宏一のコラム「全員参加による経営活動の薦め15」
を掲載させていただきます。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
業務部
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「まず自分を変えて会社を変えよう」 |
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富士通インテグレーテッドマイクロテクノロジ株式会社 八丸 勇一 様 |
入社以来二十数年テスト工場にいて、昔の流し方で作業し、工場を管理していました。
工程の前後に仕掛を一杯溜め込んで、同じ物を続けて流す固め打ちの連続で、装置を止めない様に工場のリーダーが常に管理していました。
当然、手番は短くならないし、作業ミスも発生し、ムダばかりの工場でした。
自分に転機が訪れたのは、今から2年半前の当社会津工場で行われた生産革新指導会でした。 トヨタ生産方式の知識が無いままの参加でしたが、他工場を見る事が初めてで見る物・聞くものが新鮮で、自分の工場(工程)との違いに驚いた事を思い出します。
その指導会で見た事を持ちかえり工場(工程)でやろうとしても、うまく行かない事の連続でした。そのとき、【まず、自分の考えを変えよう】と思いました。
それは、今までの固め打ち・設備稼動率重視の考えをやめること。人の動きのムダ・工場の中のムダを見極める目を養うことを常に考えるようにしました。
そして、工場内の人だけでなく、前後工程の人と積極的に話をするようにしました。
すると、前後工程での良い所・悪い所が見えて来るようになったのです。
※自分の工程は、悪いところが見えないのですが…
前後工程で良い所があると、作業者をつれて工場へいって、自工場も良い工場と同じか、それ以上にしたいと話をするようにしたら、まず工場の作業者が反応するようになりました。 今までムダな作業をしていたのだという【気づき】があり、言葉にしてくれるようになりました。 自分としてはありがたく、うれしいことでした。
しかし、工場の管理者が変わっていなかったので、次第に作業者の意見が無くなってきました。 そこで、工場管理者とも一人一人話をして仲間を作るようにしていきました。
(当初は、話を聞いてもらえず、無視される状態が続いたのですが…)
今では、工場の中にトヨタ生産方式を理解している仲間が数10名出来たことで、日々改善が出来るようになってきました。(まだまだ、序の口と感じますが)
更に会社を変える為に、自分のトヨタ生産方式の知識を蓄え、今までに体験したことの無い手番と品質向上(作業ミスの継続的発生無し)を実現させて活人化・活スペースを生み出して、新規業務を取り込めるようにすることで、自分の職場を守り、儲け続ける会社を作り、会社を存続させるために…
【自分を更に変えて、会社を変えよう】と思います。
以上
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「コンサルタントのひとりごと」 |
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岩城生産システム研究所 岩城 宏一 |
― 全員参加による経営活動の薦め15―
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次に、計画の展開の仕方について説明しましょう。計画の作成、審議、実行、反省等の実際の展開の流れを標準化することは、可能でありまた効果的であります。例えば、毎年一月の社長年頭方針を受け、それ元に中期及び年度計画の反省に着手し、それを修正補強、新年度計画の作成を二月末までに終了し、三月一日より実質的に新年度計画による活動を始め、四月一日に新年度の開始のための儀式、例えば会社方針発表会等を行う。またこの一連の作業の各担当者、進め方等についてはあらかじめ定めておき、変えないで継承し、年中行事として毎年繰り返し維持すことが大切であります。
さらに、これまでの計画は、例えば重層ピンシステムと称して、上位の社長から末端まで、計画を積み上げることを指向するのが普通ですが、本当に必要な計画は、役員、部長クラスまでで十分であります。
それは、既に述べたように、この計画は、その通りに実務者に仕事を指示することが目的ではなく、実務者が何をすれば良いか自分で判断できるように、経営者の意図を判りやすく伝えるためであります。
方針や計画は、書き物や一辺の伝達では、大勢の人達には決して浸透するものではありません。判りやすく実行出来る経営活動の条件として、先ず経営方針や計画は、その対象を役員、部長クラスの担当職務範囲として、簡単明瞭に必要最小限に絞込み、そして、その任にある人達は、自らが組織の末端の仕事の現場まで出向き、それを自分の責任で徹底的に浸透させることです。
全体を統括し、組織的に機能させることは、他ならぬ経営幹部の重要な任務であり、会社組織がまともに機能していな最大の原因は、経営幹部の人達が担当する役割または職務が、適切に遂行されていないためです。
“社長や役員が指示したことなので、一度指示したら直ぐその通りにやれ”とばかり、指示しっぱなしにして、頃合をみて呼び付けて結果を報告させるやり方は、良く見かける典型的な管理の形であります。この特徴は、出来るだけ沢山の指示を出し、そしてうまくいかないときは部下の責任であり、うまくいったときは自分の成果、と言うことになりがちであります。このような安易なことでは、人は決して動くことはありません。
一般的に、このような改善活動は、“いずれ其の内に立ち消えになるだろう”とばかり、形ばかりの参加に終始するのが常であります。しかし、根気強く一年、二年と続ける内に、三年目頃になるとそれが年中行事となり、いつの間にか進め方やその内容までが、皆の実際の仕事の中に浸透してくる。そのことが経営幹部の重要な仕事であります。
それによって始めて、中期経営計画を基軸にして経営活動が行われ、組織を構成する全員が、中期経営計画で設定された目標の実現に向かって、日々の活動の積み重ねが可能になります。
それに伴い、いかにも退屈そうに淀んでいた職場が、人々の表情は生き生きとして輝き、社内の状況は一変することになります。また経営者や管理者は仕事を言いつけ、それをさせることから、会社方針を把握し、それにそって自発的に働く人々を支え、支援し続けることに変わります。
現在の私たちが授かっている、いろいろの恩恵は、今現在の私たちの働きばかりではなく、今日までの過去の働きの蓄積に依存していることは言うまでもありません。従って私たちの今の働きの中には、今日のためばかりではなく、明日のための働きが、しっかりと取り込まれていない限り、当然本当に働いているとは言えません。
自らの将来を予測し、それに備え、よりよい明日を築くために、全員参加によって改善営活動を展開することは、明日への不安を取り除くばかりではなく現在の過当競争の世界で勝ち残るために、重要な対応策であります。特に最近のように、短期的な視点での経営が氾濫する中では、その威力は倍加されることになります。
(以下次号)
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