発行者 岩城生産システム研究所

 編集者 IPSインターナショナル
   平成19年01月15日発行 第034号
 お知らせ

「岩城生産システム研究所NEWS」第34号を発行させていただきます。

今回は富士通メディアデバイスプロダクツ・深山 様及び、弊社・岩城 宏一のコラム「全員参加による経営活動の薦め14」を掲載

させていただきます。

どうぞ宜しくお願い申し上げます。


                                                                     業務部




「奥が深〜い!TPS」
富士通メディアデバイスプロダクツ梶@第一製造部 深山 賢司 様

 私はSAWフィルターの製造(ウエハープロセス,アセンブリ及びテスト〜出荷)を担当しており,岩城先生から生産革新指導を受けてから1年半になります。
 
この1年半で大きく変わったと自負していた点は、ウエハー作製からアセンブリ,テスト及び出荷まで15日間もかかっていた手番を 生産指示かんばん導入の他に、各工程内に使用する治具の数量を規制するなど仕掛りを持てない独自の仕組みを指導して頂きながら構築し製造手番が3分の1の5.3日に短縮出来たことと、SAWフィルターの縦流しライン化で生産効率が上がり一人当たり1.2倍の生産性向上になった点でした。
 
10月に行われた岩城先生の指導会時、『ここまでは良くやった』と褒められ ちょっと天狗に成りかけていたところ、先生から『ロット当たりの数量を更に(10分の1)小さくしなさい! そうすればもっと良くなる』と言われ、ある会社を参考に見てきて『勉強しなさい』と指導を受けました。
 見学させて頂き自分達の活動の甘さと TPSに対する解釈がまだまだ浅いと痛感しました。私は生産革新活動で即効果が表れる有形の効果ばかりを追い求め じわりと後から効果が出てくるような有形効果や無形の効果(製造現場ばかりでなく技術設計部門も品質管理部門も生産管理部門も同じベクトルに向かい改善を迅速に行いムダを省き会社の体力の底上げや新たな企業風土文化を産む) の改善・意識改革がいつのまにかおろそかになっていたような気がします。私の無形効果の解釈もまだ浅いと思いますが、日々改善をこれからも行い TPSを通じ有形の効果ばかりにとらわれず、無形の効果が早く出てくるようより一層生産革新活動のスピードを上げて行なわなくてはいけないと改めて思い気づかされました。
 最後になりますが岩城先生、 TPSを始めたばかりで考えがまだまだ浅く幼稚な製造部ではありますが、自分達で考え工夫し 物作りで儲ける製造会社を目指してまいりますので、これからも引き続きご指導宜しくお願いします。

以上



「コンサルタントのひとりごと」
滑竢髏カ産システム研究所  岩城 宏一
 全員参加による経営活動の薦め14


 判りやすい経営活動の条件として、その方針や計画がシンプル簡単明瞭であ
り、場当たり的に変わることなく、ある程度の期間

継続することをあげました。
これらは、判りやすい経営の条件のみならず、実行を容易にする上でも重要な条件でもあります。

 
特にその方針の継続性は、実際行動を起こす上で重要の要件になります。

何かを思い付き、それを実行しようとするとき、継続している活動の中での思い付きは、容易に実行に移すことが出来ます。

 
通常の組織の中において、各自の考えが殆ど実行に移せない原因は、上述のように、会社業務の中には一連の継続した経営

活動がないためであります。

そのため、実行できる経営活動の重要な要点は、全社を巻き込んだ一連の活動が継続し、ある程度組織の中に浸透していること

です。

 
そのために全社的な目標を設定し、それを実現するための基本方策を定め、その展開活動期間として10年(長中期計画として)

程度を設定する必要が
あります。組織の大小によってその期間は異なるが、一般的には最初の3〜5年間は、全社にこの活動が

浸透するために、費やされることになります。

 
このような進め方は、一般的に見られるような、期ごとの売上や利益計画の達成を軸にした、所謂 予算管理型の経営とは異な

り、長中期的な目標実現型又
は育成型の経営に移行することになります。

 
当然のことながら、毎期ごとの売上や利益計画の達成は、現実の問題として、避けて通れない問題であります。そのため、この

育成型の経営では、当期の各
目標値は、中期計画の中の当年度の目標として設定することになります。

 
さらにその実現のための方策は、中期的な取り組みの基本方策と完全に整合させ、その中での今年度実施事項として位置付け

します。

 
それによって、方策が継承され、経営方針や経営計画の継続性が維持され、改善活動の全社への浸透を助け、経営への全員

参加の流れが徐々につくられ
ていきます。

 このような活動を展開していく上で、その展開方法や進行管理の仕方を標準化することは、改善活動の全組織への浸透や経営

活動への全員参加の流れを
育てる上で、極めて効果的であります。

 このことについては、全ての会社業務を繰り返しのあるものと、そうでないものとの二つに層別し、標準化と年度の経営計画に

よって管理することを提案
しました。その中で、繰返しのない改善事項等の年度の経営計画への取込対象になる業務でも、標準

化が可能な部分があり、またそれを標準化することは、
極めて効果的であることを述べました。

 
そこで、その標準化の実際の進め方について、私が今日まで用いてきたものを例にその要点を説明しましょう。

まず、組織活動の基軸となる経営方
針又は経営計画は、先に述べたように、判りやすくシンプルで簡単明瞭であること。その文字

数は、普通の文字の大きさで、A-3の用紙に収まる範囲が限度
であります。

 その内容は、組織を構成する人々が自らが自由奔放に発想し、活動するために必要なことのみに限定すること。またそのまとめ

方は、通常の人々の思考
パターンに従い、大中小局的に順序良く整理し、各活動項目については、それを直接実施する担当者名

を明記すること。さらに計画書は、これらの内容を網
羅した形で、フオーマット化することが大切であります。

 このことによって、お互いの考えや主張がより効率的に伝わり、意思の疎通や方策の継続が容易になります。 従来のこの種の

計画に比較して、その分量は
極端に少なくなりますが、それは、各自が仕事を行う上で、お互いが連携するために、共有しなけれ

ばならない情報のみに限定し、従来の受けて側に仕事を
指示する事項を削除したことによります。 即ち、経営者が組織内に徹底

しな
ければならないことは、そんなに沢山はなく、A-3の用紙一枚に収まる範囲で、十分であるということです。

(以下次号)


                                                                    以上


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