発行者 株式会社岩城生産システム研究所

 編集者 有限会社IPSインターナショナル
   平成18年08月01日発行 第023号
 お知らせ

「岩城生産システム研究所NEWS」第23号を発行させていただきます。

今回は富士通インターコネクトテクノロジ・小林 様のコラム「40年の歴史を変えた生産革新」及び、弊社・岩城 宏一の

コラム「全員参加による経営活動の薦め3」を掲載させていただきます。

どうぞ宜しくお願い致します。

                                                                      業務部




「40年の歴史を変えた生産革新」
富士通インターコネクトテクノロジーズ梶@小林 幸裕 様

 私が、岩城先生並びに松岡、新田両先生方の指導によって活動を開始し、1年7ヶ月の歳月が経ちました。

活動当初を思い出しますと、先生方の指導に対し、40年間の歴史がそう簡単に変えられる訳が無いと否定的な事を言って

先生方を困らせた事を今でも覚えています。

この場をお借りして先生方にお詫び申し上げます。


 
私が担当している工場は、省人化を図る目的でロボットを導入し、化学処理を実施していました。

活動当初は冶具等の問題によって慢性的な不良が多く発生しており、かんばん運用の出来る状況では有りませんでした。

色々と先生方の指導を受け試行錯誤しながら改善を進めましたが、
仕掛りを減少させる手段が有りませんでした。

悩んでいた時、仲間が一言『省人化の為に設置
したロボットが改善の邪魔をしている』との進言が有り、ロボットを使わない

方法が無いか考え
ました。まず絶対不良が出ない事、簡単に取り付けが出来る事、設備能力が同等以上の事、この3条件

をクリアー出来る改善策を色々試し、クリアーできたのが、シンプルな処理カゴでした。

全面適用を提案しましたが、ロボットの設備投資額が大きい事から撤去を決断するのが困難でした。そこで昨年3月24日に

行なわれた岩城先生指導会の際、先生に改善内容を説明した所、
私も同じ考えですとの指導でした。その場で岩城先生が

社長にロボットの撤去を進言され、
改善が加速し、同年6月7日ロボットを撤去する事が出来ました。


 
改善活動がだんだん面白くなって来た時期、今度は次工程組み込みで停滞が多く発生していました。

この工程は職人的なセンスが必要とされ40年間、変わること無く行なわれて来た工程です。

個人々が各々の作業場所に分散し組み込みを行う為、設備と組み込み作業が同調出来ない事から、仕掛りが増え、かん

ばん運用が不可能な状態でした。色々な組み込み方法を試みましたがうまく流れに
乗れません。

そんなある時、処理カゴから組み込み作業者が直接基板を外しそのまま組み込んだら設備と同調出来るのでは無いかと

考え、昨年8月22日岩城先生の指導を受けました。『面白い
方法を考えたな』と指導されました。

指導の中でラインは短く、作業者全員が同じ方向を向いて作業するようにとの指導が有り、化学処理完了から組み込み迄

の作業の一連化を図り、流れを造りました。


生産革新を進めて行く上で感じた事は、改善した内容が上手く行かなかったら単に元に戻せばいいと言う考え方では無く、

何処が駄目なのか、とことん追求し、創意工夫が集積されて行く
事が大切と感じました。

常にステップアップ出来る改善活動を継続的な組織活動として定着させて行きたいと思います。

今後共、ご指導宜しくお願い致します。


                                                                   以上




※小林 様は日々の生産革新活動が認められ、「富士通社長賞」を受賞なさいました。 おめでとうございました。



「コンサルタントのひとりごと」
滑竢髏カ産システム研究所  岩城 宏一
 全員参加による経営活動の薦め3


 
2、トヨタ生産方式に底流する経営思想


 
これまでの生産の仕方が、トヨタ生産方式に変わるに従い、工場内や物流拠点等の様相は大きく変化する。その変化
は必然的に会社全域に波及していく。トヨタ生産方式への改善を行うとき、しばしばこのような経過を辿る。

 
トヨタ生産方式導入の過程で見られる多くの変化の中で、最も興味を惹くものは組織内の人々の動きに関するもので
ある。それは、トヨタ生産方式の浸透の度合いに応じ、人々の動きが一段と良くなり生き返ってくることである。トヨタ生産
方式による生産性、在庫、品質等々の大きな改善成果は、人々の動きが良くなったことによるものである。

 
このように人々の働きを大きく変えるトヨタ生産方式は、生産現場だけではなくあらゆる組織においても、同様の変化
をもたらすことが出来るであろう。もちろん生産分野で用いた直接的な手法は、他の多くの分野で適用できるとは限らない
が、その組織形態やその運用方法はきわめて合理的で、多くの組織活動を改善する上で、重要な手掛かりを得ることが
できる。

 
トヨタ生産方式で見事に生まれ変わった生産現場を目にするとき、多くの人達がこれを会社全体に広げられないかと
考え、その展開に手つけ始める。実際に着手してみると、トヨタ生産方式の生産現場での多くの手法が、意外とうまく適合
する。しかし、会社全体を大きく改革するものはこれらの手法ではなく、前述のトヨタ生産方式を構成する組織形態と運用
方法であろう。

 
生産現場の活動は会社の全体活動と一体であり、その重要な部分を担っている。そのため、活動の基本的な部分で
ある、各々の組織形態と運用の違いは、無用な混乱と矛盾を生むことになる。トヨタ生産方式への移行に伴う会社全域の
組織形態と運用への波及は、トヨタ生産方式がその会社に定着する為に、必要不可欠な条件である。従って生産現場が
ある一定の段階まで変化してきた時、他部署の巻き込みと変化の促進は、トヨタ生産方式のゆるぎない定着のためにも、
積極的に進めなければならないことある。

(以下次号につづく)

                                                                   以上


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