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発行者 株式会社岩城生産システム研究所 編集者 有限会社IPSインターナショナル |
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平成18年04月15日発行 第018号 | ||
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「岩城生産システム研究所NEWS」第18号を発行させていただきます。 今回は新光電気工業梶E会津治雄様のコラム「生産革新一人旅・・・組織を離れて」及び弊社・岩城宏一のコラム「勘違い の無駄8」を掲載させていただきます。 業務部 |
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新光電気工業株式会社 会津 治雄 様 | ||
この度、岩城生産システムのホームページにコラムの執筆を依頼され、ペンを取る事になった新光電気の会津です。私は今、 TPS推進室という立場で日夜悪戦苦闘しております。 私が初めて岩城先生と巡り合ったのは、03年4月25日の工場診断の時でした。その時をもって、幸運にも弊社は、超多忙な 岩城先生の指導を受ける事が出来る様になりましたが、これは本当に弊社にとって最高に幸せな事であると、今、実感しており ます。また、先生が現役時代にトヨタ生産方式を導入され、作りあげられた長野ジェコー様には、弊社から役員を始めとして現在 までに1,000人を超える社員が、我々の手本として、勉強のため見学させていただいております。 しかし、岩城先生の指導を受ける段になった際、最初に頭をよぎった事は、弊社が25年前に“生産改革”と称して、コンサルタ ントに多額の費用を掛けたものの、「何の成果も上がらなかった」事実がある事から、「また同じ事を繰り返すのか?」との想いで した。 私自身コンサルタントを、全く信じないまま指導会がスタートされ、そんな中、一つの事例になりますが、岩城先生より「750mの ローラコン上での作業が1.5mなるね!」「この製品自動倉庫もいらないね!」との指導を受けた時、正直にいって「何言ってんだ! 我々は、物作りのプロだよ!出来る訳が無いよ!」と、今振り返ると、そんな生意気な事を思っていました。ところが、改善の日々 を繰り返す事により、岩城先生の指導会で言われた事が、数ヶ月後には全て言われた通りの形に変化してしまいました。 その時の「驚き」と「くやしさ」は今でも忘れられません。その頃から工場のいたる所に変化が現れた事により、岩城先生に対し 「この人は信じる事が出来る人だ!」・「この人は凄い人だ!」と、私自身の気持ちの上でも変化が現れてきました。 岩城先生から指導を受けた事を次回指導会までに、100%やり遂げる事は当然の事であり、更に一歩前に進めた形で改善をし て、指導会に臨む事の出来る、苦しくも有り楽しい毎日でした。 物作り現場の変わる喜びを、現場の作業者と共有しながら、毎月の指導会を楽しみに2年間繰り返してきました。しかし今年( 注:去年)の7月より組織が変わり「権限という力」が無い中、全社TPSの推進をする立場に変わりました。 世の中には、「本を何冊も読んだので、TPSについて全て解った・・・!」、「TPSは、数十年前に沢山勉強したから、全て解って いるが・・・!」と、いう人達がいます。私が指導を受けて学んだ事とは、大分かけ離れた言動です。影響力の無い人であればま だしも、影響力の強い人の言動は、現在進めている生産革新の、方向性やスピードにも影響が出ます。この様なハードルを乗り 越えてTPSの推進をしなければなりません。また、人は「牽引力」が無くなると、やはり楽な方向へ走り、「勇気を持ってチャレン ジする」という気持ちは薄れて来る様に見えます。 岩城先生に教えて頂いた、「人を大切にしなさい!」「変えるは成長なり!」を肝に銘じ、TPSの根底に有る(私の理解)、「責任 感」・「信頼関係」・「限りなき向上心」の必要性を、微力ながら伝えて行こうと思っています。 岩城先生の「道標」を頼りに「生産革新」という、「ゴールの見えない苦悩の旅」に一歩踏み出した所であり、これからは更に自 分を「限界の無い吸い取り紙」とし、様々な事を吸収していきます。 このホームページをお借りし、同じ様な環境でTPS活動をされている人達の経験談も、拝見できれば、幸せと思いペンを置き ます。 以上 |
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滑竢髏カ産システム研究所 岩城 宏一 | ||
― 勘違いの無駄・8(会社ぐるみの無駄) ― |
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これまでいろいろな無駄について取り上げてきましたが、こうやって少し視点を変えてみると、毎日行っているほとんどのことが 無駄なことをしているのではないかと、急に心配になってくる。 このシリーズで取り上げた無駄は、すべて“会社の収益をより良くするために”ということが前提になっていました。しかし社内 の収益のことばかりではなく、雇用を促進し地域社会に役立てるという視点でみると、これは無駄どころか立派な社会貢献と言 えるでしょう。 このように無駄についていろいろと議論する前に、その判断基準となる“基準”または価値観をはっきり認識しておく必要がある でしょう。しかもそれは、人間活動についての無駄論議であるため、経済的な面ばかりではなく、人間の生き方についての価値 観も、当然からんでくることになります。 人間社会における価値観の優先順位は、哲学では古くから「真理」「美」「善」とされています。 これは永遠の座標であり、例え ば物事の真理を追究していくことを基準にすると、人々の行動は、永続的に“無駄なこと”“有効なこと”に、かなりはっきりと層別 されることになります。 しかし研究機関ならともかく、私企業では如何に収益をあげるかが、やはり最優先事項となり、これを軸 にして我々は活動することになります。 しかし収益をあげるための取り組み方も千差万別であり、当然のことながら活動軸も変わってきます。この点に関する最近の 動向を見てみると、比較的短期の収益、即ち今期の決算を予定通りなんとか終えることが、重要な活動軸になっているように思 います。 実際は半年や一年程度の短期間に実行できる方策は限られているため、短期てきにはそれ程の効果は期待出来ないのが普通 であります。 我々が今日まで展開してきたトヨタ生産方式への転向は、この様な短期の決算対策と無縁ではありませんが、必ずしもそれら と基軸は同一ではありません。 トヨタ生産方式の導入は、収益性の高い企業体質をつくるための、むしろ長中期的な取り組み の一つであります。 安定した収益を確保するために、常に利益を上げること出来る会社づくりをめざして、毎日毎日改善を行い、会社の体質を強化 していくことが大切であります。その改善の進度に応じて収益性が徐々に向上していくと言うことになります。収益的に安定した 経営は、明快な意図のもとに、継続された活動の積み重ねによって初めて実現できることになります。 明確な方向性もなく、単なる無駄とりや当面の決算対策だけに終始する活動は、上記のように会社の体質強化に結びつくは ずもなく、その場かぎりで消滅してしまい積み重なってきません。そのため、会社を挙げてその場限りの活動に終始する限りでは、 会社中が無駄なことをしていると言っても過言ではありません。我々のまわりには案外このような現象が多いものです。 もし会社の長期的な安定成長を望むならば、それに至るための基本方策と、そのもとに日々の活動が着実に積み重ねられ、 体質強化促進されることが無駄のない活動と言えるだろう。 このようにしっかりした中期経営計画のもとに、会社を上げて改善活動が展開されているような会社は、確実に成長し続けるで あろう。 以上 |
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