発行者 株式会社岩城生産システム研究所

 編集者 有限会社IPSインターナショナル
   平成18年04月01日発行 第017号
 お知らせ


「岩城生産システム研究所NEWS」第17号を発行させていただきます。

今回はNECアクセステクニカ叶シ田利幸様のコラム「“変わったな”と言われる職場」及び弊社・岩城宏一のコラム「勘違い

の無駄7」を掲載させていただきます。

新入社員・人事異動など何かと環境の変化が大きい4月ですが、そのような季節に感じた変化とは・・・

                                                                  業務部




「“変わったな”と言われる職場」
NECアクセステクニカ潟\リューション製造部(ホームGW/複合ファクシミリ) 西田 利幸 様



我々の職場は2002年2月から先生にご指導いただいき既に4年を超えました。

 
NECATへのご指導開始(2000年7月LCDモニター)に遅れること1年、我々の生産革新活動は実験室であったフロアに協力

会社から生産を取り込むことから始まりました。

 
まさに一からの出発でしたが、この4年間に棚卸を1/3、フロアあたりの生産数20倍、1人あたりの生産数4倍、等々の結果

を得ることが出来ました。


 我々事業は過去に多くの不良棚卸を抱えた苦い経験を持つことから、棚卸や仕掛りなどの物量削減を特に重要と考え、先生

のご指導にがむしゃらについてきた成果が上記でした。

 
振り返れば正直言ってつらいことも多々ありましたが苦しい分だけ達成感もあり、この時の苦しい経験が我々の原理原則への

こだわりとなっているように思います。


 
最近ですが新ラインの構築中に気づいたことがありましたので紹介したいと思います。

 
我々の職場ではライン終了後にコツコツ改善活動を進めておりますが、昨年4月に入社した社員がいつの間にかエアーシリン

ダーを用いてラインの動作改善が出来るようになっておりました。

 
彼は毎日実際に行うライン作業から動作のムダを感じとり、動作の悪さとは何かの理解を深め、自らこれを改善するスキルを

習得してきました。(現在進行形)

 
我々が進めているこの生産革新活動は、単にラインの生産性をあげるだけでなく,そこで働く人間も共に成長させていることを

あらためて感じております。

 しかし新入社員であった彼も机に座って仕事をしていたのでは動作のムダを感じることは出来なかったはずです。実際に作業

に触れ、現地・現物・現実であったからこそ得られる成果です。


 
我々は更なる物量削減・生産性向上・平準化生産を実現していくため、設計・販売・その他関係部門と共に3現主義の活動を

進めこのフロアを起点に現状を変えていく必要があります。

 
未だ改善半ばではありますが生産革新活動を継続発展させ、人も景色も「変わったな」と言われる職場を作っていきたいと思い

ます。

 
最後になりますが、負けたらそれまでです。勝つための活動ですからがんばれる。そんな気持ちで取り組んでおります。


                                                                      以上



「コンサルタントのひとりごと」
滑竢髏カ産システム研究所  岩城 宏一

 
― 勘違いの無駄・7 (品物の停滞は工場の稼動ムラをおこす)―



 要らないものでもつくって置けば、いつかは役に立つので、何もしないで遊んでいるよりはマシ
だと思っている人が大変

多い。勤勉を尊び怠惰を嫌う、我々日本人の素晴らしい点の一つであろう。しかしこれも時と場合によりけりで、生産工場ではこれ

は禁物である。要らないものつくることから、いろいろな無駄が発生する。


 要らないものつくることは無駄なことだと誰しも知っている。しかし自分が今つくっているものが、要らないものだとは思っていな

い。当事者達は少なくとも、それは必要なものと思っているところに問題がある。しかしトヨタ生産方式に生産現場を変えてみると

必要なものと不要なものとの区別が、はっきりしてくる。それは一体何故なのか?

両者を比較してみると、それを何時必要とするのかという時間の捉え方と、誰が必要にするのかという、必要とする人の限定の

仕方に、はっきりとした違いがあることが分かる。


 
一般的には、それを必要とする時は、“いつかそのうち”という程度で、漠然としているのが普通であろう。これに対しトヨタ生

産方式では、“次の定期便が来るまでの間”即ち工場と外部との拠点間はほぼ次の日までとなり、工場内の工程間では“み

ずすまし”のサイクルタイムのほぼ10分後ということになる。また誰が必要とするかについても、普通の生産方式では、かなり

漠然としている。しかしトヨタ生産方式では、自分の工程の直後の工程であり相手がはっきりしている。


 
このように、必要とする時間や必要とする相手の限定の仕方によって、必要なものとそうでないものとの間に大きな差が生

じてくる。“いつかは役に立つので、何もしないで遊んでいるよりはマシ”だと考えることは、大変大きな無駄を生むことを忘

れてはいけない。


                                                                       以上


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