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発行者 株式会社岩城生産システム研究所 編集者 有限会社IPSインターナショナル |
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平成18年03月15日発行 第016号 | ||
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「岩城生産システム研究所NEWS」第16号を発行させていただきます。 今回はS社・渡邉敏美様のコラム「抵抗勢力は私だ(後半)」及び 弊社・岩城宏一のコラム「勘違いの無駄・6」を掲載させていただいて おります。 業務統括部 |
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S社 第二製造部 渡邉 敏美 様 |
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----前号よりの続き---- 【2002年4月17日・移管後初の指導会】 3ヶ月がアッという間に過ぎ、本社に何とか押し込んだ。しかしまだ、生産が軌道に乗らない、納期はめちゃくちゃでとても生産 革新指導会どころではなかった。 岩城先生 (帽子を脱ぎ一礼され、)「大変だったね、何人こちらに来たの?」 私 「120人が来てくれました。」 岩城先生 「それは良かったね」とおっしゃられた。涙が出た・・・。 【5月指導会】 朝8時30分 突然岩城先生と親会社のO社長が工場にこられた。 岩城先生 「渡邊君 昨日の夜は眠れなかった。基板の仕掛が多すぎるここのストアは定期品と不定期品に分けて手持ちを 決めて、こうしなさいと。また、夕方もう一度来るからね。」 「これじゃ昔に戻っている。」 O社長 「前に戻ったってさ。」 凄い厳しい顔だった。お二人は直ぐにU社に向かわれた。 私 「・・・。」課長と二人何もいえなかった。 「戻った。」との一言に悔しくて、悔しくて何かに八つ当たりしたのを覚えている。 「やってられねーなー。」課長と二人で慰めあった。 当時 移管前と比べ応用製品、自動車関連と1.5倍の生産になり、基板実装機はバッチ生産、押し込み生産で切り回していた。 夕方までに何とか仕上げる為に行動した。夕方 岩城先生がこられ、もう一度丁寧に指導いただいた。当日は一日何をしたの かよく思い出せない。 それからである段取り替えの“シングル段取り”への挑戦が始まった。 古い話だが「ミュンヘンへの道」というTVドラマがあった。全日本バレーボールチームが金メダル挑戦への物語と記憶している。 これと同じ道を進もうと。 “シングル段取りへの道”と題し活動を開始した。 現在すべてにシングルまでには行かないが本年中には達成できると確信している。 【お客様来社の1コマ】 ある日、O社長とA社のK社長が工場視察に見えられた。 当社製品の入力装置は、A社の工作機械に搭載され、長期にご使用されとてもありがたいお客さまである。 ライン説明をしながら、 私 「K社長 1台、5台のご注文は対応が難しいです。もう少しLOTを纏めて頂けないでしょうか?」 K社長 「そりゃ、そうだよなー。もうチョット纏められないか?」と、同伴の部長におっしゃられた。 帰り際に「これからもよろしく!」と言われ握手して頂いた。 今思うと、大変なことをお客さ様に言ってしまった事を恥じている。お客様は1台で良いのに、5台売りつけようとしていたので ある。とても“お客様起点”どころではない。A社様、すいません・・・。 現在、A社様とは定期的にTV会議を開催して納期、品質について改善を続けている。 【2002年10月指導会】 出力装置工場が300M離れた借家工場で操業していた。指導会の終わりに、 岩城先生 「渡邊君、出力装置は何時まであそこにおいて置くの?かわいそうでしょ。本社内に入れてやりなさい。」 私 「え・・・。このままで良いと思います。」 岩城先生 「バカ言ってないの、同じ仲間を一緒にしなさい」立て続けにおっしゃられた「何時までにやるの?」 私 突然で訳も解らず答えてしまった。「雪の降る前には実施します!」 翌日社内への移管計画を発信した。早速、反対勢力が出てきた。「勝手に計画するな」「家主の交渉は簡単に出来ない」 「いくら懸かるんだ」「予算はあるのか」等々。 「もの作りはスタッフ・生産技術・技術・の総力戦だ。」「出来ない理由は山ほどある、出来ない理由を並べてもしょう が無い。」岩城先生の言葉が思い出された。結果、総力戦で12月には約1,200uの移管を完了した。 【2003年1月指導会】 岩城先生 「よくやった、よくやった。」と言われた。関係者皆嬉しかった。「渡邊君ここまでよくやった。これからどうする?」 私 「・・・。」これからの事は何も考えていなかった。 【2004年6月 社長工場巡回時】 社長 「この部材倉庫を食堂にする。此処までのスペースを空けろ。」と宣言された。 誰も本気にしていなかった。そして、2週間経っても誰も何の行動もなかった。 「俺の言う事を聞けないのか!」一喝された。 それからである。管理職をはじめ「総力戦」が始まった。3ヵ月後、食堂が出来た。約700u確保した。当地方豪雪の中、別棟 のプレハブ食堂行かなければならなかったのが工場内に他社に負けない多目的な快適な食堂となった。 【2005年5月指導会】 岩城先生 「渡邊君 朝礼はどうしているの?」と帰り際に言われた。私は、これこれ、こうですと申し上げた。 岩城先生 「朝礼で細かい事を言う代わりに、皆で協力して世界一の職場にチャレンジしよう。」という事を呼びかける。 「そういう気持ちを持って仕事に取り組むと結果が全く違ってくるよ。」 今も出来るだけ、そのようにすることを心がけている。既に当社の生産革新も3年目に入った。3年前と比べると従業員も工場 も変わった。「やってきて良かった。」と皆思っていると確信している。しかしまだ抵抗勢力はいる。 岩城先生 「抵抗勢力は何処にもいる。無言の抵抗勢力が、一番性質が悪い。」そのとおりだと納得してしまう。 生産革新も他社に比べれば小学生。早く「ルビコン川を渡れ」るように、また、当社の目標の「お客様起点」に向け精進して行き たい。岩城先生、並びに松岡先生には健康に留意され、引き続きご指導頂けますようお願い申し上げます。 以上 |
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滑竢髏カ産システム研究所 岩城 宏一 | ||
― 勘違いの無駄・6(一括購入の無駄) ― |
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トヨタ生産方式への生産革新が進行し工場内に流れが通って来ると、山積みされたダンボール類が異常に目に付く。言うまで もない、これは海外から一括購入した部品類である。 トヨタ生産方式に変わった生産現場では、部品類は各供給先から直接ライン側に、“みずすまし”によって接続されているため、 品物の停滞は全く見当たらない。また荷姿も通い箱に統一され、その扱いも“みずすまし”によってすべてが規則正しく処理され ているため、トラックヤードから生産フロアーまで、直接作業している以外の人は誰もいないのが普通である。 そのような中で、工場の一角に品物の大きな山が築かれている。そのまわりで幾名かの人達が、ダンボールの箱を開け、詰め 替えや員数、品質のチェック等をしている。またその横には、使い残しの停滞部品が積み上げられている。これは誰が見ても、 なぜこのような無駄なことしているのだろうと思うであろう。 確かに商店での一般的な売買では、纏め買いは値切り易く、安く買える。しかしそれは、売買のその場だけのことである。 纏め買いに走る人達は、生産工場での資材調達についても、普通の品物の売買と全く同じように考えているように見受けられる。 それを持ち帰り保管し、使い切るまでのことが考慮されていないのである。 一括纏め買いは、詰め替えや員数、品質のチェック等に余分な人手が掛かることや、使い残して結局捨てることになる部品 の山。それらの部品は結果的には、大変高いものになっている。しかしこれまでは、皆が纏め買いをしていたため、そのような 大きな無駄が、無駄として理解されないままになっていた。 しかし物流網を整備し、毎日必要なものだけを少量づつ購入する、トヨタ生産方式に変えてみると、その違いは一目瞭然である。 一括纏め買いが如何に大きな無駄を強いているかが分かる。特にリード手番の長い海外からの一括購入は、このような無駄の 発生に止まらず、生産そのものにとって大きな足枷になり、まともな生産活動の大きな障害になる。例えそれが半額で購入でき ても、それに飛びつく気持ちはとても湧かない。 以上 |
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