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発行者 株式会社岩城生産システム研究所
編集者 有限会社IPSインターナショナル |
平成18年2月1日発行 013号 |
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お知らせ |
「岩城生産システム研究所NEWS」第13号を発行させていただきます。
今回は富士通インテグレーテッドマイクロテクノロジ・佐藤 裕孝 様及び 弊社・岩城 宏一のコラムを掲載させていただいております。
業務統括部
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『半導体新時代は俺たちの手でー2 』 |
富士通インテグレーテッド マイクロテクノロジ株式会社 生産革新推進室
佐藤 裕孝 様 |
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岩城先生「ちょっと1人抜けてごらん。」 (あれれ、人を抜いたら逆にアウトプットが速くなったぞ?!)
―手組みラインでの指導風景―
手番を短くしようとして、引きの生産であるトヨタ式に注目していた時期でした。
グループ会社で行なっている岩城先生の指導会、その時に目にしたのがこのショッキングな光景です。
(どうして人を抜いてアウトプットが上がるの?トヨタ式は生産性を一気に上げる事ができる魔法なのか?)
自分の職場に帰りさっそくこれを応用したら、2人で行なっていた作業が1人でできるではありませんか。しかもアウトプットを
落さずに。トヨタ式恐るべしです。
以来、この職場のご厚意をいただき指導会に毎回参加。
この職場は手組み作業が多いので、設備を使って製造する半導体後工程とは随分と違います。ですから先生の指導をヒント
に、自分の職場だったらどのように解釈して展開するべきか?が課題です。
この方式は私たちの職場には適さないという気持ちは、不思議と微塵もおきなかったです。
何とかしてトヨタ式をものにしたい。今の現場を変えたい。でも一人ではだめだ。
で、坂本竜馬の寺田屋に習い、近隣の居酒屋で[生産革新に燃える熱き夕べ]と題し、こうしたいんだ、このようにするんだ
と、何回か語り明かしました。
……当然最後は、くどい、しつこいただの酔っ払いと化しましたが・・・…
初めは、特にムダトリに注目してダンガエ短縮に取り組みました。
これが良かったのかもしれません。外ダンドリを意識すると効果てきめんですから、皆が興味を持ってくれました。
併せて店作りを進め仕掛りを減らしてゆくと、自然と‘流れ’が見えてきました。
そして店を小さくしていったら、徐々に引きの生産になってきました。
オペレーターの動きが小さくなり、設備が安定して稼動しはじめました。
精度があがるにつれて、かつては想像することも出来なかった短手番が視界に入ってきました。
さらに、極端に言うと、設備も人も動かないのに、アウトプットはしっかりと出てくるという状態が出現しました。
そして何よりも素晴らしいのは、現場がとても元気になったことです。
どうしたらありたい姿になることが出来るかと、積極的に考えるようになりました。正にトヨタ式は人づくりです。
市場の要求は多品種、カスタムメイド、そして短手番と低コスト。更に垂直立ち上げ、短期勝負とありますが、これを満足
させることができるのがトヨタ生産方式。
内外の競争は更に日増しに激しくなりますが、トヨタ式こそ日本製造業の切り札だと思います。
岩城先生の指導の下、孤高の高みを目指して、挑戦を続けます。
会社を変えるため。 世界一になるため。
以上
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コラム「コンサルタントのひとり言」 |
岩城生産システム研究所
代表取締役 岩城 宏一 |
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― 勘違いの無駄・3 ―
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生産委託の受け皿として、生産の請負を専門にする会社が、ここ十年来急速に台頭してきた。例えば、半導体の組み
立て専門工場やパソコン、携帯電話等を対象にしたものが目立つ。 これらの出現は“まとめて多量につくるので安く
なる”また“生産は誰にも出来るので外に頼めば良い”と言う考えが応呼した結果であろう。
前号で話題にしたように、生産を外部に委託することは他を差別化する上で、非常に大きな問題であることは、言うまで
もないことである。しかし、果たして生産を専門会社に任せることが、本当に安価になるかは疑問である。トヨタ生産方式を
取り入れている多くの人はお気付きの通り、安価になるどころか、逆に高くつく場合が多いのが普通である。
その理由には次の二点が挙げられる。
その第一は、製造請負価格は、その他会社維持のための費用の負担が必要なため、その製品の直接的な収支ではなく
その会社の総収入と総経費との関係で決まる。従って、一定の売り上げ量も大切であるが、年間または長期間において
の工場の稼動の変動が、非常に大きな経費の発生原因となる。
従って、工場の稼動の安定化は、製品を安価につくるための最も大切な条件であるが、製造請負の場合、客先の都合が
常に優先するため、安定した工場の稼動の維持が難しく、製造原価の削減上の大きな制約条件になっている。
彼らの工場の稼動の不安定さは、工場の安定した稼動を維持するために、タイミング良く新製品を開発し、販売
するという開発と営業機能を持っていないことに、原因することは言うまでもないことだろう。
このことは、あれ程までも話題を提供した製造請負会社の多くが、現在ではこの問題に直面し、開発や営業分門の内部
への取り込みを、模索し始めていることからも明らかである。
第二の問題は、現在の我々の生産工場は、彼らのものつくりの水準を大きく越えていることである。当然のことながら、
賃金差を補い直接製造原価でも同等以上の水準にあり、ましてや品質、リードタイムに於いては圧倒的な違いが
あり、生産委託の必要性は完全に消滅している。
元来あのような生産委託が存在する条件は、米国企業の多くに認められるように、元競争力のある生産工場を持っていな
い場合や、通常の生産能力を遥かに越えた需要が生じた、等限られた場合であろう。
それを、これからの生産活動の趨勢と勘違いし、多くの工場を競って閉鎖した無駄は、わが国の景気を大きく
後退させるほど、大きいものであった。
以上
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