発行者  株式会社岩城生産システム研究所

 編集者  有限会社IPSインターナショナル
   平成17年9月1日発行 003号 
 お知らせ

 岩城生産システム研究所NEWS第3号を発行させていただきます。

今回号は、弊社代表取締役 岩城 宏一からの投稿コラムとなっております。どうぞご期待下さい。


                                                      業務統括部

 コラム「コンサルタントのひとり言」    岩城生産システム研究所
代表取締役 岩城 宏一

 
― 無駄もいろいろ・1 ―


 かつて恩師の故鈴村喜久男氏に、無駄にも片仮名の“ムダ”の他にひらがなの“むだ”があると、しばしば教えられたもの

でありました。


 これは、通常 我々に見えている“ムダ” 例えば無用な歩行等の他に、標準作業としてつくり込まれた仕事の動きの中にも、

まだ“むだ”
があるよ、という意味でありました。



 それらの一例をビス締め作業について見てみると、ビスを左手で取り、ドライバーを右手で握り、締め付け場所にあてがい、

締めるという一連の動作の中で、有効な作業は締め付ける瞬間の動作のみで他は全て“無駄”と見做し、それらをひらがなの

“むだ”と指摘していました。


 それは一連のビス絞め作業に改善を加え、標準作業として仕上げても、それをよく見ると、その標準作業の中にも有効な

動きは一瞬でしかなく、無駄な動作が沢山あり、“改善は無限”だということを教える言葉でもありました。



 しかし、今そのことを振り返ってみると、それはトヨタ生産方式が、相当高い水準で機能している我々の仲間内では大変有効

で貴重な話であったが、世間一般の生産現場に適用できることではないことに気付きます。


 一般的には一連のビス絞め作業の中のむだの有無の以前に、現状は今ビス絞め作業をすること自体が、必要かどうかが

はっきりいていないためです。今必要でないビス絞めを行うことは、前述のむだに比較し、とんでもない大きな無駄をしている

ことになります。



実はこのような大きな無駄が、生産現場ばかりではなく会社組織内、ひいては社会全般に蔓延していると言っても過言では

ありません。



普通は、“今この瞬間しなければならないこと”が“はっきりわからない”また“わかってもその通りできない”のが実情であります。

このことに端を発し、片仮名の“ムダ”やひらがなの“むだ”などは比較にならない大きな無駄が、身の回りにたくさん発生してい

ます。



皆さん自身については如何ですか? 今することが分かっていますか? 分かっていたらそれが実行できますか?

これらに起因する無駄は、当然のことながら“ムダ”や“むだ”に優先して、改善していかなければなりません。


 次回から、この無駄について話を進めてみましょう。





                                                                    以上
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